パワハラ上司に悩む女性を救った2つの言葉 被害から抜け出す近道は仲間を見つけること

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そのときは、「とにかく上司のほうが陰湿でやりすぎ」であることを周囲にアピールするよう伝えた。上司の度重なる説教が「やりすぎ」なのは、第三者である私でもわかったので、その理解の輪を広めることが解決につながると思ったからである。

具体的には次のことを実践させた。会議室に呼び出された回数と滞在時間をすべて記録すること。そして「ちょっと会議室へ……」と上司から呼びかけられたときは、大袈裟に席を立ち「はい、●●(上司の名前)さん、申し訳ありませんでした!」と大声で言い、恐縮しながら彼の後ろをついていく様子をフロア全体に見せつけること。

2つのことを実践したことで、徐々に上司の彼女に対するマネジメント方法が社内で問題視されるようになった。最終的には、彼よりも上の人間が「部下との接し方について指導を改めるよう」通告。結果、上司は態度を改め、彼女はその重圧から解放されたことで以前よりも働きやすくなったのである。

会社員でパワハラを受けているのであれば、基本対策は「①味方を作る」「②パワハラをする人間のひどさを周囲に知らしめる」の2つである。あとは社内の人事部やコンプライアンス部、労働組合へ相談するのもいい。また、昨今ツイッターでよく見るいわゆる「人権派」的な人は大抵の組織にいるものである。そういった人間も味方につけたほうがいいだろう。

フリーランスのための「パワハラ」対策法

フリーランスについては、個々のケースを述べるというよりは基本的な考え方を記す。前に述べたとおり、発注主と付き合うのが苦痛であれば「やめてもいい」というのが筆者の主張である。

ただし、正社員と同様に、確実に味方を作り、そのヒドさをキチンと誰かに伝えておくことを推奨する。その相手は発注主の会社の人よりも、フリーランス仲間のほうがいい(発注先の会社の人に相談しても、「余計な仕事を増やさないでくれ」と邪険にされることのほうが多いため。そういう点でも、フリーランスは立場が弱い)。

不思議なもので、飲み会などでフリーランス同士が集まるときに、たとえば誰かがA氏という加害者からのパワハラ被害について言及したとする。すると「あっ、オレもA氏から同じ目にあった!」といった話になり、ほかのフリーランスからもまた別のパワハラ被害報告が上がってくる。最終的にはA氏の失脚を待つ「被害者の会」のようなゆるい結束が生まれ、彼からの依頼をみんなで断るといった対抗策を打ち出すことができる。

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