4年生の社会で環境やゴミ問題を勉強するとわかれば、子どもと一緒にゴミ出ししたり、分別収集の作業をしたりしましょう。5年生の算数で割合の勉強をするとわかれば、スーパーマーケットに一緒に行くようにして、「本日のみ! すべてのパンが表示価格の2割引!」のところで電卓をたたいて計算するようにします。6年生の理科で人体の勉強をするとわかれば、人体の学習マンガや人体図鑑などを用意してあげましょう。
では、ここで千葉県のYさんが実践した例を紹介します。Yさんは長女が2年生になったとき、新しい算数の教科書のある勉強を見て「これは難しい」と思いました。それは、「水のかさ」の勉強です。
そこには、L(リットル)、dL(デシリットル)、mL(ミリリットル)などという単位が出てきて、「1L=10dL」とか「1L=1000mL」などという説明も出てきます。
Yさんは、この水のかさの単位変換の勉強を非常に難しいと思ったのです。皆さんは、100mLは何dLかわかりますか? 確かに、かなり難しいですよね。実際に何度もこの授業をしてきた私の経験でも、子どもたちはこれで大いに苦しみます。
そこで、Yさんは、お風呂で遊びながら単位変換の経験をたっぷりさせることにしました。ありがたいことに、Yさんは私の本を読んで参考にしてくださったそうです。
まず、ジュースのパックをハサミで切って、1L、2L、1dL、500mLの容器(箱)を作りました。そして、パックの切り取った部分を捨てずに、1平方センチメートルの正方形を5つ作り、それを組み合わせて1mL(1立方センチメートル)の箱も作りました。そして、それぞれの箱にマジックで容量(かさ)を書きました。1Lの箱には「1L」と書くだけでなく、その下に「10dL」「1000mL」とも書いておきました。
箱をそろえたら、これを使ってお風呂で遊びました。「1dLの箱のお湯を何杯入れれば、1Lの箱がいっぱいになるかな?」といった具合にクイズを出して考えさせ、実際にやらせて「10杯だ!」と体感させていったのです。子どもは喜んでやってくれたそうで、だんだん手作りした箱だけでは物足りなくなって、いろいろな大きさのジュースパック、ペットボトルなども持ち込んだそうです。
たっぷり体感することで、単位換算を体で覚えることができました。そのおかげで、ほかの子たちが悩む問題でもスイスイ解けるようになり、算数全体についても自信が持てるようになったそうです。さて、皆さんにクイズです。「1mLの箱の何杯分で1dLになるでしょう?」。わかりますか? けっこう難しいですよね。
最初のほんの少しのレディネスの違いが生む効果
以上、いくつか具体例を紹介しました。親が新しい教科書に目を通しておけば、生活や遊びの中で楽しみながら無理なくレディネスをつくっていくことができます。最初のほんの少しのレディネスの違いが、勉強が進むにつれて大きな学習成果の違いになっていきます。この記事を読んだ方には、ぜひ実践していただきたいと思います。実践に結び付けるためには、教科書の目次をコピーして、目につく所に貼っておくのもいいですね。
最後に注意点です。実践に当たっては、無理はしないでください。親が張り切って、「さあ、星座を見つけよう」と言っても、子どもが乗ってこないことは大いにありえます。そういうとき無理強いすると、授業で勉強する前に苦手意識を持たせてしまうことになります。ですから、楽しみながらできる範囲でやることが鉄則です。
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