タイ産の「ユーカリ植林炭」が選ばれる理由

現地日本食チェーンで人気、日本向け輸出も

主力商品のユーカリ植林炭。タイの大手日本食チェーンの他、日本の冷凍焼き鳥工場や居酒屋でも使用されている。今後日本への輸出は増えそうだ(筆者撮影)

まず1つは炭としての性能の良さだ。タイ国内で計画的に植林されたユーカリの木を原木に、1000℃程度の温度で焼いた同社の炭の炭化率は約90%。約7500cal/g という熱量は日本の備長炭とほぼ同じ。高温で焼いているため、無味無臭というメリットもある。それでいて価格は備長炭ほど高くない。コストパフォーマンスの良い炭といえる。

サスティナブルである点もメリットの一つ。「植林された木が原料」ということは、二酸化炭素のリサイクルが可能ということ。木炭を燃焼させれば二酸化炭素が排出されるが、木を新たに植えればそこで光合成が行われ、排出する二酸化炭素の量を固定できる。どこで植林されたのか、どのような工程で木炭を生産しているのかのトレースも簡単だ。

サスティナブルでトレーサビリティも確保できる――。環境への負荷を減らし、調理の過程で使用する材料一つ一つの安全確保が命題となっている食関連の企業にとっては大きな利点に違いない。

評価が高いサービス対応もお客から支持される理由に

さらに挙げれば、製品に関連する同社のサービス対応も高く評価されている。

「注文を頂いたら必ず届けること。当たり前のことのようですが、タイではそれが難しい。洪水があろうとデモが起きようと注文に応えることがモットーです」

炭の材料となるユーカリの植林地。谷田貝氏は自然由来の材料を使い、環境への負荷が少なく、持続性のあるビジネスを創り上げた(筆者撮影)

2011年秋。タイが大洪水に見舞われ、バンコク都心部にも水がひたひたと迫っていたときも、谷田貝氏のモットーは実行された。

「まだ水が引いていない中、とにかく配達しました。欠陥商品を出さず、お客さまに御迷惑を掛けないこともモットーの一つ。炭化していないという不良品はほとんどないのですが、まれにある。そうしたときにはすぐに出向いて謝罪し交換する。これを繰り返してきました」

タイで流通している炭には、表面だけ整えてはいるが中はボロボロという製品が珍しくない。そうした環境で谷田貝氏は常に高品質を追求し、当たり前といえば当たり前のクレーム対応やサービスを愚直なまでに積み重ねてきた。

「でも、こうした対応は私がかつて携わっていた旅行業では当然のことばかり。それをやっただけに過ぎません。日本食レストランの進出が相次いだことも追い風でした」

次ページ谷田貝氏の来タイ後の歩みはドラマチックだった
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