タイ産の「ユーカリ植林炭」が選ばれる理由 現地日本食チェーンで人気、日本向け輸出も
そう語る谷田貝氏のこれまでの歩みはドラマチックで、多くの示唆に富んでいる。時計の針を戻して、ウエルネスライフプロジェクトがいかに生まれ、事業を軌道に乗せていったか、そのストーリーに目を向けてみよう。
谷田貝氏が来タイしたのは1988年。最初は旅行会社の駐在員として、次にタイの旅行会社の現地採用として10年間働いた。
「もともと健康おたくだったので、人の心身を癒すリソースがたくさんあるタイに引かれました。自然が豊かで文化的にも奥深く、多くが熱心な仏教徒。人を健康にする要素の宝庫だと思いました」
現地の旅行会社で働いていたあるとき、日本の大手旅行会社の元社員で厚生労働省外郭団体の健康増進関連公益法人の元理事から「タイで長期滞在プログラム」事業を一緒にやってみないかという声が掛かる。会社員の立場で新プロジェクトに携り、無事に日本での販売がスタートしたものの、タイミング悪く、1991年に湾岸戦争が勃発。商品は売れず、プロジェクトは頓挫した。
2000年にウエルネスライフプロジェクトを立ち上げ
だが、これを機に谷田貝氏の起業家スピリットがむくむくと頭をもたげることとなる。いつか高齢者や障害者の健康の維持や増進を図るプログラムを提供しよう――。こうして2000年に立ち上げたのがウエルネスライフプロジェクトだ。
最初に手掛けたのは日本の障害者団体の日本アビリティーズ協会と提携したバリアフリーのツアーだ。旅行業界では前例がない商品ということもあり、反響は上々。利益率も高かったという。
「このときですね。ビジネスは他の人ができないことをやればいいんだと学んだのは。ただ、2001年にアメリカ同時多発テロ事件が起きたため、団体ツアーの仕事が一気にしぼんでしまった。ツアーはなくなり、ゼロからスタートしなければならなくなったので落ち込みましたね。もっとも半日で立ち直り(笑)、ネットを活用することにしました。ちょうどネットが普及してきた頃だったので、ホームページを立ち上げ、自分で直接、障害者向けのツアーの販売を始めました」
すぐに効果は出た。ただし、入ってきたのは障害者向けではなく健常者向けロングステイの下見ツアーの依頼だ。Googleの検索でもホームページが上位に表示されたこともあり、同社は、タイでのロングステイを検討している人が下見に訪れる際のツアーの手配を一手に引き受けるようになる。
「ただし、下見はしても実際のロングステイにはつながらない。タイでは特に人のサポートが必要ないからです。ここは業者のアシストがなくてもなんとか暮らしていける国。ロングステイ関連の団体は既にたくさんあったので、弊社が出る幕がほとんどなかったこともあり、初心に戻ろうと障害者向けツアーに軸足を戻しました」
しかし、そこからも苦難の連続だ。2007年、タイに障害者が滞在できる施設を作る目的で、東京にある介護関連の会社と合弁会社を立ち上げたが、失敗に終わる。施設を作るための資金をまずは捻出しようと駐在員の妻向けにカルチャースクールを始めたものの、お客がうまく集まらなかったからだ。