「中学受験で全落ち」した親と子に必要なこと 我流を貫き、想像以上に厳しい結果に…

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子どもが不合格となった場合、大抵の親は、次の2つのいずれかの対応をとります。

【慰め型】
「『住めば都』と言ってね、入ってしまえば、その学校がよくなるもんだよ」
「でも今まで頑張ってきたから、これから明るい未来があるよ」
【一緒に落ち込む型】
「ママもね、昔行きたい学校に合格できなくて、一晩中泣いたものよ」
「本当にママもがっかりで、悲しくなってきちゃった」(言葉に出さなくても雰囲気で作る場合もある)

おそらく宮崎さんもいずれかのアプローチを取られてきたことでしょう。しかし実際は、これらのような語りをしたところで、当の本人には、そんな言葉は耳に入りませんし、心にも響きません。

「しょうがないよね。力が足りなかったんだから」とか「いけもしないところを受けたいとかいうからそんなことになったのよ!」と現実をそのまま言葉にして語る親もいるでしょう。まさに図星であるだけに、「泣きっ面に蜂」の言葉は子どもの心をずしずしと突き刺していきます。このような言葉によって、発奮してやる気を出す子であれば多少の効果もあるかもしれませんが、そうでない子の場合、マイナスの効果しかない場合もあります(一般に発奮するケースは極めて少ない)。

ではどうすればいいでしょうか。結論を先に言いましょう。

「深刻にならずに、普段通りの日常生活をしていく」だけ。

別の言葉で言えば、「ほっておく」「子どもの様子に過剰に反応しない」とも言えます。

娘さんは「バカだと思われてる。恥ずかしい。明日から学校に行けない」と言っているようですが、それは、言わせておけばいいのです。もし返答するならば、「あ、そうなの」程度でおしまいで、それ以上の言葉をかけません。それ以上の言葉をかけると事態は複雑化します。本当に行かなくなるときは、言葉に出せないぐらいショックを受けているため言葉に出ることはありませんから心配ないのです。

なぜこのような対応をするかと言えば、次のような理由があるからです。

子どもには振り返る「自分の時間」が必要だ

「子どもは自分のことは自分が一番よくわかっているため、あえて親が何か言う必要はない。それよりも、子どもには振り返る『自分の時間』が必要で、その時間こそが最良の教育になっている」

しかし、実際多くの場合、自分だけで自分を見つめる時間が必要な場面で、“外野”からあれこれいじってしまうことで、最良の教育の時間を失わせてしまうのです。

親は心配かもしれませんが、心配しても解決しません。もちろん、「心配しないように」と言われても、そんな簡単に素直に心配しないようにするなんてできません。親ですから心配するのが当たり前です。ですが、それをあえて可能な限り表に出さないようにするのです。

このように私が言える背景には、次のようなことがあるからなのです。

「どのような学校に行っても、どのような道に進んでも、将来から見ると、それは必ずその人にとって必要なプロセスになっている」

現時点のみを見ると悲劇かもしれませんが、私からは「必要で大切な経験」に見えます。多くのお子さんを見てきましたので、このような対応について自信を持ってお話しできるのです。

なお、このようなお話を今、直接子どもにしても通じません。未来から見て現在を考えるのではなく、過去を振り返って、どうすべきであったかを「考える時間」をあげたほうが効果的なのです。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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