だからJALはエアバスに乗り替えた 欧州大手がボーイングから優良顧客を奪取
エアラインにとって、機材調達は経営戦略の最重要項目。特にJALは10年に経営破綻し、再建過程にあるため、機材調達においてもコスト意識が非常に強くなっている。「それをチャンスとみたエアバスが、今回はかなり戦略的なプライスを提示したようだ」(業界関係者)との声も出ている。
欧州各国の大使も同席した会見での、報道陣との主なやり取りは以下のとおり。
――ボーイングに統一してきたことで、パイロットの操縦訓練や整備などではメリットがあったかと思う。エアバスの機体を採用するデメリットはないのか。
植木社長 安全性や機材の品質、購入後のサポートを含めた経済性、既存機の更新時期などを勘案して、A350がベストという判断を下した。現在、小型機以上の機体でエアバスは1機も保有していない。初めてと言うことで必要な初期投資は出てくる。しかし、その負担を加味しても、非常に経済性が高い。
――実際の投資額と支払いについて。
植木社長 守秘義務があって、契約額は申し上げられない。カタログプライスでいうと、31機でおよそ9500億円になる。導入の数年前から前払いが始まって、導入時には全額支払うことになる。非常に大きな投資となるが、財源については、最終的に導入時点の財務状況などを見て対応を考える。
――ボーイングが開発する「B777X」では間に合わないのか。B787のバッテリートラブルも考慮しての判断か。
植木社長 B787のトラブルと今回の件はまったく関係がない。機種選定に関する判断基準は先ほど申し上げた4点に尽きる。ボーイング社から大型機の選定に関してどういう提案があったかについては、先方との守秘義務契約があって申し上げられない。
ボーイングの牙城を切り崩す
――エアバスにとって、今回の商談成功はどういう意味を持つのか。
ブレジエCEO A350はすでに世界のエアライン38社から756機もの確定発注を受けている。非常に優れた旅客機であるからこそ、それだけ多くの信任を頂いている。非常に重要な市場である日本でも、JALから大量のオーダーをもらい、A350が優れた旅客機であるというサインになると思う。今回の商談は、エアバスにとって、日本市場における大きな突破口になる。