いきなりステーキ、急成長に潜む一抹の不安 国内200出店計画、総店舗数は1年で倍以上に

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直営店で実現してきた店舗運営力をFC店でも保てるかが重要となる(撮影:梅谷秀司)

立地については、コンビニの退店案件を活用しているほか、ロードサイドの洋服店や書店の敷地内に照準を合わせ、選定していく構えだ。

ただ、これだけの大量かつ、FCメインの出店はペッパーフードサービスとして過去に例がない。仮に出店が果たせたとしても、直営店舗で実現してきたような収益性や店舗運営力を保てるかは未知数だ。

社員教育を徹底できるか

懸念されるのがFC店舗を指導する本部社員の教育だ。2017年12月末時点のペッパーフードサービスの社員数は530。店舗網の拡大に対応すべく、足元では1カ月に30~50人ほどの正社員が入社しているという。

一瀬邦夫社長は2月末に開かれた決算説明会の冒頭で「こんなに大勢の人がおいでになる決算説明会は初めて。とても緊張しているが、うれしい」と述べた(記者撮影)

一瀬社長が直々に経営理念を語る「社長道場」と銘打ったプログラムなどを用意し、教育に力を入れているとはいえ、急速な人員増加の中でもこれまでのような育成が継続できるのか。店舗を指導する人材の育成が十分にできなければ、店舗ごとの売り上げに大きなバラツキが出る可能性もある。

また、いきなり!ステーキは肉などの原価率が6割近くに上る一方、高回転率によって利益を確保するビジネスモデルだ。裏を返せば、客数の減少によって売り上げが下がれば、一気に業績が悪化するリスクもある。

外食チェーンでは、大量の出店を急ぐあまり、店舗立地の選定を誤ったり、人材確保や教育が追い付かずに客離れを招く、というケースが往々にしてある。1月の既存店売上高は前年同月比7%増とまずまずのスタートだった。既存店の伸びを継続しながら、もくろみどおりの店舗網拡大を実現できるか。2018年はいきなり!ステーキにとって勝負の年となりそうだ。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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