「低学力の生徒にこそeラーニングが必要だ」 すららネット社長ロングインタビュー
飽きない仕掛けが随所に施された教材
小林:低学力の子どもたちでも着実に学べるように、御社の教材ではどのような点を工夫されているのでしょうか?
湯野川:当社はインタラクティブにしたかったので、プログラムを用いた対話型のアニメーション教材にしています。カリスマ講師が一方的に喋る動画タイプでは、低学力の生徒たちは集中力が続かず途中で眠くなってしまいがちです。その点、「すらら」はアニメの先生がちょっと教えては生徒に質問を投げかけ、回答に応じて「やったね!」とか「残念」とかいったリアクションがあるので眠くなりにくい。それに、低学力の子どもが勉強をさらに嫌いになるのは、問題を解いてあまりに自分の正答率が低いと「心が折れる」からです。かといって、あまりにも簡単すぎても「つまんない」となります。そこで、「すらら」では各々の子どもの学力に応じて、適度な成功体験を得られる難易度の出題をするようにシステムが対応しています。先程からお話ししてきたコンサルティング力とともに、こうした商品力の高さという両輪を一つの会社が持つことはけっして容易ではありません。
小林:確かに、それら2つの強みを有していることは、競合との大きな差別化につながっていると言えそうですね。
湯野川:「すらら」を導入した塾にも大きな1つの強みがあります。たとえば、小学校で習った内容から教え直す必要のある生徒は、週に何回も通ってもらわなければ授業についていけません。しかし、そうなると月謝も跳ね上がってしまい、保護者の負担にも限度があります。その点、「すらら」なら生徒がどれだけ頻繁に通っても塾側のコストは増えません。こうしたことから、「すらら」の導入塾では安価な「通い放題コース」が可能となります。リーズナブルな月謝で通いたい放題、それに加えて、同じIDとパスワードを用いて家でも勉強できるわけです。
小林:大手企業などとの資本提携にも積極的ですね。それぞれ、どういったことに取り組んでいるのでしょうか?
湯野川:凸版印刷とは、同社傘下の教科書会社最大手・東京書籍も交えて、「すらら」が対応していない理科の教材を協業で開発中です。NTTドコモグループとは、ドコモのチャットボット技術を活用し、AIによって生徒のモチベーションを高められる機能を提供しています。
小林:また、すでにインドネシアにも活動を広げていますね。新興国は先進国と比べて教育がまだ行き届いていない側面もあるだけに、御社にとって大きなチャンスが潜んでいるのでは?