「低学力の生徒にこそeラーニングが必要だ」 すららネット社長ロングインタビュー

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小林:今やカーブスは、女性たちの間で大変な人気ですね。

湯野川:カーブスは現経営陣と一緒に米国から持ち込んだのですが、現在は1700〜1800店舗にまで拡大しているようですね。それはともかく、教育業界に関してもともと私は完全に素人でした。しかし、ベンチャーリンクとしてある個別指導塾チェーンを2004年に支援することになり、フランチャイズの販売代行を行い、400校規模から800校規模へと拡大させました。販売を代行するに当たって、「自分たちも実際に経営してみなければ本当のよさを伝えられない」と考え、ベンチャーリンクもFC校の1つとして加盟しました。生徒募集は非常に順調で、1年半後には400校中2〜3位の生徒数に増えたのです。しかし一方でなかなか上手くいかないこともありました。

小林:それは、どのようなことですか?

湯野川孝彦(ゆのかわ たかお)/株式会社すららネット 代表取締役社長 ベンチャーリンクで新規事業開発を担う部門の担当役員として、教育業界大手の個別指導チェーン、フィットネス、外食業界などにおいてフランチャイズシステムの構築や業態改善・経営支援などに従事。2010年にすららネットの株式を取得してMBOが成立。以来、代表取締役社長として同社を率いる(写真:Signifiant Style)

湯野川:子どもたちの成績をなかなか上げられなかったのです。特に学力の低い子どもが顕著で、もちろん成績が上がる子どももいましたが、中には逆に下がる子どもも出てきてしまい、全体的には伸び悩んでしまうわけです。これでは、社会的に価値のある仕事をやっているのかという疑問が生じてしまいます。

小林:子どもの成績をアップさせることを一番の目的に個別指導塾を選んだ親も少なくないだけに、それは看過できない問題ですね。

湯野川:私から見ると、個別指導塾という業態そのものに問題があるように見えました。仕組み化が不十分で、そのためサービスクオリティの安定化が非常に困難だったのです。講師の多くはアルバイトの大学生で、彼らの教える能力には個人差がありました。要は、講師に当たり外れがあったということです。その点を育成によってカバーしようともしたのですが、学生アルバイトですから、数年も経つと辞めていくので上手くいきませんでした。そこで、理想のeラーニングを創り出すことでこうした問題を解決できないかと考えたのが、今のビジネスにつながる第一歩です。

小林:それは、いつ頃の話ですか?

湯野川:2005年から構想を始めて、中学生版の一部が完成したのが2007年でした。当時はまだeラーニングに対して懐疑的な見方が多く、私たちが実証することでその有効性を世の中に知らしめようと思っていました。そして、あえて競合相手の多いエリアである東急田園都市線の駒澤大学前駅の近くに、完全にeラーニングだけを用いた自立学習スクールをオープンさせたのです。

ベンチャーキャピタルから出資を受けて独立

小林:勝負に打って出たわけですね。結果はいかがでしたか?

湯野川:集団塾と個別指導塾のどちらに通っても成績がなかなか上がらないという“塾難民”のような子どもたちがいっぱい集まってきて、「ここの塾ならよくわかる!」という評判が立つようになりました。実際に繁盛し始めて、これはいけそうだと確信したのですが、その矢先にベンチャーリンクの経営が悪化し、システム投資もままならない状態に陥りました。結局、2012年3月にベンチャーリンク(その時点ではC&I Holdingsに改称)は民事再生法の適用を申請して事実上、倒産してしまったのですが、その気配が漂い始めた段階で、私は事業を存続させるための資金調達の道を自ら模索し、ベンチャーキャピタルや投資家を訪ね歩いて、私たちが立ち上げたeラーニングの事業への投資先を探しました。

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