「低学力の生徒にこそeラーニングが必要だ」 すららネット社長ロングインタビュー
小林:塾や学校がきちんとケアしなければ、低学力の生徒たちに実際に使い続けてもらうのは難しいわけですね。
湯野川:だから、当社は、顧客である学校や塾のオペレーションには非常にこだわっています。最初は「すらら」の導入によって達成すべき目標を設定することから話を進めるようにしています。「学校が直面している課題は何ですか? 成績アップですか? 生徒募集ですか? 具体的に英数国のいずれの教科の成績を上げたいのですか? 英語なら、成績アップのKPI(重要評価指標)は何にしますか? 英検の合格率ですか? だとすれば、1年後にその合格率をいくらまで上げることをコミットしましょう。そのうえで、『すらら』を使ってこのようなスケジュールで進めていき、進捗管理はこういった方法で行いましょう」といった流れで先生たちと協議していくのです。そうすることで、組織として初めて動き始めます。また、塾向けにも、保護者面談の手法や月謝の設定などに関するセミナーを実費で開催しています。
小林:C(生徒)向けの教材開発にとどまらず、B(塾や学校)にもガイダンスを行っているということですね。非常にユニークで、これは1つの参入障壁にもなりうるものですね。いくらEdTech(エドテック)企業が優れたeラーニングの教材を投入しても、そういった面をフォローできなければ本当に受け入れられるのは難しいでしょう。
変革を迫られているローカルな中堅・大手塾へ
湯野川:そうですね。だから、最近は補習塾だけではなく、ICTを活用した変革に迫られているローカルな中堅・大手塾でも「すらら」が採用され始めています。課題はさまざまですね。「地方なので人口が少なくなっている地域の採算悪化が進んでいる」とか「講師採用が本当にできなくなってきた」とか。そこでたとえば「その地域の校舎ではアルバイト講師を用いずに『すらら』だけで指導するコンパクトな塾に業態転換しませんか? それによって、損益分岐点が○○%下がりますよ」と提案しているのです。
小林:ここ数年、御社の売上が着実に伸びてきているのも、やはり大手塾の採用が影響しているのでしょうか?
湯野川:そのとおりで、校舎数の拡大よりも1校舎当たりの生徒の増加が顕著です。生徒数の多い大手塾が採用するようになったのは大きな一因です。