
(写真:metamorworks/PIXTA)
進学、就職、転職、パートナー探し、家探し。重大な意思決定の多くは、一方的な選択ではなく、相手とのマッチングによって決まる。新卒の就活は学生が企業を選ぶだけでなく企業が学生を選ぶプロセスでもあるし、パートナー探しでは自分が望ましいと思う相手に選ばれる必要がある。
双方向の意思決定において、人は「うまくいっていない」と感じ、「もっとよいマッチングがあるはずだ」と考えることが多い。そして、マッチングの概念が広まってきた今では、マッチングの質と量の向上も求められている。
では、よりよいマッチングとは何か。どのように定義・測定されるのか。それは実現可能なのか。
経済学はこの問いに挑んできた。当初は主に理論研究の分野で、望ましい性質を持つアルゴリズムの開発が行われた。2010年以降はマッチング理論とデータ分析が結び付き、実証研究も盛んになった。データを用いた、「現実のマッチングはどうなっているか」「理論的に望ましいアルゴリズムの導入は現実にどう影響するか」などの分析だ。本稿では、筆者が専門とする「実証マッチング」という研究分野について、大まかな見取り図を描いていきたい。
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