客数減が止まらない、「モスバーガー」の苦境 国産野菜使用などの強みを生かせない理由
さらに、過去5年の間は、2013年10月と2015年5月に食材価格などの高騰を理由に、商品の値上げに踏み切っている。特に2015年の値上げでは全商品の約9割を対象に10円~70円引き上げ、看板商品の「モスバーガー」は340円から370円に値上げした。度重なる値上げによって客離れを招いた面もある。
いちよし経済研究所の鮫島誠一郎・主席研究員は「マクドナルドは400円近い高単価のハンバーガーも扱う一方、100円バーガーやバリューランチ(平日昼のランチセット割引)など割安な商品をうまくアピールしている。モスバーガーはこうした訴求ができていない」と指摘する。
加盟店オーナーが減少
マクドナルドが異物混入問題で不振にあえいだ2015年度は既存店売上高が前期比7.3%増と高水準だったが、このときは値上げによる客単価上昇の効果が大きく、客数に限って見ると前期比2.8%減だった。値上げが一巡したはずの翌2016年度も既存店客数は2.3%減とマイナスが続いた。
こうした既存店における客数減少が、店舗網の拡大にも影響している。ピーク時の2000年度には1500店を超えた国内店舗数だが、それ以降はじりじりと減少し、直近の2017年12月末時点では1353店にとどまる。
店舗数が漸減する背景にあるのが、加盟店オーナー数の減少だ。モスバーガーは、直営が2割程度で、約8割はフランチャイズ(FC)契約をした加盟店オーナーが運営している。オーナー数は1997年の693名が最多。
当時の櫻田厚社長(現会長)が、初期の頃にFC契約をして惰性で経営しているオーナーに対し「なんとなく経営をしているのでは困りますよ」と話し、契約打ち切りを断行した。近年はオーナーの高齢化(平均年齢59歳)という問題も加わり、足元ではオーナー数が440名となっている。
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