他人のふんどしで相撲をとるようなことは、Iさんはできないと考えていました。
そもそもそんなことをしていては、組織の中にイノヴェーションは生まれないとIさんは考えていました。
会議まとめるおじさんと同じ土俵に立たず、かつ自分の意見が適切に評価されるためにはどうしたらいいか……。Iさんは熟考を重ねました。
長きにわたる歳月の中で、Iさんが思いついたのは、
そうだ! ダミーの意見を入れよう!
ということでした。
会議まとめるおじさんは、まとめる能力が高いだけであって、個々の意見をちゃんと理解したり考えたりするわけではありません。
そこでIさんは、おじさんがまとめる発言をした瞬間、その意見に乗っけるようにして、自分の真の意見を言うようにしたのです。
つまり、Iさんは「ダミーの意見」と「真の意見」の2つを前もって用意して、ダミーの意見をおじさんをはめるトラップとして活用するようにしたのです。
ちょっと面倒ですが、はたから見ると、Iさんのほうがおじさんよりもさらに良い意見を言っているように見えます。そしておじさんからすると、まとめたところにさらに意見を上乗せされてしまったら、これ以上なすすべがありません。
こうして、Iさんは会議のイニシアチブをとるようにしていきました。
Iさんの会社は保守的な会社です。そのため、若手であるIさんがいきなり大きな仕事をまかされたりすることはありません。それでも、Iさんが会議でおじさんを押しのけてイニシアチブをとるようにしてから、周囲の目も変わっていきました。こうすることで、自分のやりたい仕事や自分の興味のある仕事にかかわりやすくなっていったのです。
恨みを買わず、かわいがられることも必要
Iさんの賢いところはこれだけではありませんでした。Iさんは、ダミーの意見を使って、つねに会議まとめるおじさんをやり込めていたわけではありませんでした。
3回に1回ぐらいは、いや……4回に1回ぐらいは会議まとめるおじさんに勝ちを譲ってあげるようにしていたのです。
おじさん自身、人の意見をパクっているなんて重々承知です。だからといって、それを毎回毎回やり込めていたら恨みを買ってしまうでしょう。そこで、たまには勝ちを譲ってあげることで、おじさんに花を持たせたのです。
そうすることで、会議まとめるおじさんに恨まれず、逆に「あいつはできる奴だ」とかわいがられるようになったそうです。
この試合に負けても勝負に勝つ心意気、まねしたいものですね。といったところで今日は失礼します☆
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