中学でも引き続き、勉強と運動に打ち込んだ。そのおかげで、成績は常に上位、入部したテニス部でも試合で活躍し、良い成績をおさめられた。いじられキャラではあったが、楽しく過ごせていたという。
しかし、高校に入ると睡眠リズムの乱れ、自律神経失調症、音が異様に気になって部屋の窓を二重サッシにするまでの聴覚過敏、過敏性腸症候群といった、金井塚さんのようなASDの人の一部に特有とされる二次障害の症状に悩まされ、不登校気味に。これらの二次障害が日常生活に大きな支障をきたし、そのまま高校を中退せざるを得なくなった。
大学受験や就活も「独りよがり」に
とにかく、こちらに話すすきを与えないほど、マシンガンのように話し続ける金井塚さん。あちこちから新しい話題が降ってきて話が散乱状態なので、正直なところ、この記事をまとめるのにもかなり悩んだほどだった。金井塚さん自身にその自覚はあるのだろうか。
「情報量が多く、一方的にしゃべってしまうというのはあります。対面で相手の反応を見ながらしゃべったり、相手の気持ちを察したりするのも苦手です。でも、いちばん困っているのはさっきも言ったように、二次障害のほうですね。これが勉強にも支障をきたしました」(金井塚さん)
大学は関西の中堅私立校へ進学。しかし、その受験勉強は苦労の連続だった。
「ADHDではないと思うのですが、ちょっとした多動傾向のようなものがあるんです。受験勉強中に1つの教科をずっと勉強するのが無理だし、同じ参考書を何度も解くということもできないんです。だから、いろんな参考書をひたすら買いまくるという……。それこそ落ちる人の典型的なパターンですよね(笑)。しかも、自分が興味のある分野は深みにハマっていくんです。好奇心は旺盛なので、試験には出ないようなある特定のマニアックなジャンルにばかりどんどん手を出していって……」(金井塚さん)
大学時代はキャンパスライフを謳歌できた。環境が適応すると過活動になる面があり、毎日が楽しくてたまらなかった。また、この時期に障害者手帳も取得。発達障害で手帳を取得するには大量の書類と複雑な手続きが必要だと聞いたことがあるが、金井塚さんの場合は臨床心理士である母親に知識があったため、スムーズに取得できたという。
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