26歳「発達障害」と一途に向き合う彼の生き方 当事者だからこそ似た境遇の子を支援したい

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「その工程がどうしても覚えられなくて、ミスばかりしていました。あまりにもミスが目立つので上司に『実はこういう障害があって……』と相談をすると、人事部にかけあってくれ、全然違う企画系の部署に異動させてもらえました。やはり、自分が興味を持てない対象のものをエクセルなどで数値化して管理するのはすごく苦手です」(金井塚さん)

独特な体のバイオリズムと付き合いながら働く

また、金井塚さんは二次障害の1つとして独特なバイオリズムがあり、夏場や冬場は生産性が2割ほど落ちる。過眠体質でもあり、睡眠は1日10時間必要だ。金井塚さんが当初志望していたマスコミや広告代理店は激務で睡眠が十分に取れないという話をよく聞く。金井塚さんのやりたいことと体のコンディションは対極状態にあったのだ。

筆者も睡眠時間は8時間ないと頭が回らず、イライラして食欲も落ちてしまう節がある。そんなとき、周りの人は短時間睡眠でも力を発揮できているのに自分は甘えているのではないかと自分を責める。金井塚さんにもそのような葛藤はあるのだろうか。

「それはすごくありますね。発達障害の人って、過活動な面があるのでどっと疲れたり、変なところで刺激を受けて疲れちゃったりすることが多いと、ある本で読みました。特に受験のときなんかは、周りの人が自分より頑張って勉強しているのに、自分は少し勉強しただけで疲れてしまうし、そこから回復するのにも時間がかかる。言葉を選ばずに言うと、『不良品』というか。受験生という観点だけでみると、恐ろしく効率が悪いので、やっぱり自分はダメ人間なんだと、すごくつらかったです」(金井塚さん)

現在、金井塚さんは転職し、独特な体のバイオリズムがうまく適応できる職場で働いている。冒頭でも述べた通り、発達障害などの障害を抱える子どもの支援施設だ。「放課後等デイサービス」といって、発達障害を抱える小1~高3までの子どもが通うことができる。

シフトは基本、昼の12時から夜21時まで。症状の1つとして朝起きるのが難しいという点を気にしなくていい働き方だ。発達障害の子ども向けの学習支援とはあまり耳にしたことがない人もいるだろう。具体的にどのような施設なのだろうか。

「大きく分けると、学習支援とソーシャルスキルトレーニングを実施しています。学習支援だと、たとえば通常の学校で漢字は、何度も書き取りをして覚えさせます。でも、発達障害の子どもだと何度も書き取りをするのが苦痛で耐えられない子もいる。

だから、目で見て覚えるのが得意な子には漢字の意味を表しているようなイラストが描かれた教材を使ったり、表意文字のような漢字は成り立ちから基礎的に話していったり。視覚的な部分を使って覚えるために部首などが色分けしてある教材もあります。1人ひとり、学び方のアセスメントをとりながらコーディネートしていく支援といった感じです。」(金井塚さん)

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