26歳「発達障害」と一途に向き合う彼の生き方

当事者だからこそ似た境遇の子を支援したい

そして、就職活動の時期に突入。今までの勢いのままインターンの面接に挑んだところ、出鼻をくじかれてしまった。

「大学で募集をしていたインターンの面接は、企業の方と大学の先生が面接官でした。僕は大学時代、かなり積極的に企業の人と活動していたんです。今思うと勘違いなんですが、自分はわりと仕事ができるほうだと思っていました。意気揚々と自分の経歴や長所を『あれもできます』『これもできます』『こんなすごいことをやっています』っていうのを全部詰め込んだ濃い密度のエントリーシートを持って面接に挑んだところ、面接官からの第一声が『君、独りよがりの傾向があるよね』でした。

インターンの仕事内容自体はもっとマイルドで、地道な事務仕事などを依頼されると思うのですが、『そういうのもできますか?』という質問をされ、もちろん表向きには『できます』と答えました。でも、『コイツ、きっとそういう仕事には興味を持たないだろうな』と面接官は思ったのだと今になってわかります。もちろん、この面接には落ちました』(金井塚さん)

就活も成功したとは思っていない

就活も、大学受験のときと同じで自分の中では成功したとは思っていないという金井塚さん。最初のインターンの失敗から学んだおかげで、その後はだんだんとインターンに通るようにはなったが、その後は希望の就職先の内定を取ることよりも、OB訪問をしたりインターンに行ったりと、就活自体が楽しくなってしまい、目標がぼんやりとしてきてしまった。希望としてはマスコミや出版社、広告代理店に行きたかったが、最終的には大手出版取次と大手教育系、ベンチャーの内定が出た。

「もともと教育には興味があったので、内定をもらった教育系の大手企業に入社しようかなと思っていました。でも、営業職で地方に出張があるということを聞いたらとても怖くなってしまって……。転勤もあるので、ずっと関西に住んでいたいという気持ちも高まってしまいました。

それで一度、内定者の集まりの際に人事の方に『実は発達障害と診断されているんです』とカミングアウトしたんです。自分としてはそれで、障害者雇用として別の部署に異動できるような配慮があるのかなと期待していた部分があります。でも、会社側としては普通の枠で内定を出しているので、営業職のままでいてほしかったようです。今思うと、とても良い言葉をかけてもらったと思うのですが、当時の僕はプレッシャーに押しつぶされてしまい、内定を辞退してしまいました」(金井塚さん)

結局、大手出版取次へ入社。ここでは物流の部署へ配属されたが、これは金井塚さんにとっていちばん苦手なジャンルの仕事だった。

「行動力はあるので、毎日新しいことを学んだり人に会ったりするのは好きです。一方で、毎日同じところに行って机に座って同じ業務を繰り返す……というのは非常に苦手なんです。ここでの仕事は、物流センターに届けられる商品を見て不良品がないか探したり、ラベルを張ったりと、地道で複雑な工程を繰り返して管理する作業です」(金井塚さん)

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