イスラエルとアラブ諸国の埋まらない食の溝 ひよこ豆の伝統料理をめぐって苛烈な舌戦

拡大
縮小

アメリカではフムスをラップサンドやトルティーヤの具として使ったり、その豊富な栄養価から、ハリウッド映画で人気女優がホルモンバランスを保つために食べるシーンが話題になったりなど、今やスーパーフードとしても、もてはやされている。

有名女性シェフのツイートをきっかけに

そんなフムスをめぐって今、争っているのが、ほかでもない中東のイスラエルとアラブ諸国なのだ。先述のアメリカの女性シェフ、レイチェルが、フムスなど中東のさまざまな前菜の写真を撮ってツイートした際に、「イスラエルの宴」と書いたことでアラブ諸国の人々から大反発の声が上がったのだ。ツイッター上には、主にパレスチナ人からこのような抗議の書き込みが怒涛のごとく相次いだ。

「おかしいわね、だって私のパレスチナとシリア系の祖父母はイスラエル建国以前からフムスなどを作っていたわ……」

「ちゃんと勉強してくれ。フムスはアラブ料理であり、パレスチナ料理であり、1948年(イスラエル建国の年)以前から存在してきたんだ! まだ間違いを認めて謝るのに遅くはないぞ」

「ばかげてる。これは“文化抹消行為”だ。フムスはイスラエル料理ではない、アラブ料理(レバノン、パレスチナ、シリア、ヨルダン)なのだ。イスラエル人たちはまず土地を奪い、民族浄化をした。そして今や、料理や文化まで自分たちのものだと主張をしてきはじめた!」

次ページたっぷりの皮肉を込めて
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT