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ミキモトが真珠で「世界一」になった理由 うどん屋の長男だった創業者が掲げた「野望」

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  • 伊佐 美波 帝国データバンク 東京支社情報部
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10代目の吉田均社長(写真提供:ミキモト)

10代目となる吉田均現社長は、「ミキモトは品質や伝統を守りながら、独創性・創造性を常に求めてきた」と話す。「品質」に関しては、自社で「真珠研究所」を有し、真珠養殖に関する研究を行っている。こうした研究施設を持ち合わせているのは、世界のジュエリー業者でも少ない。

「独創性」や「創造性」については、ミキモトは国際コンテストで賞を獲得する世界トップレベルのデザイナー約20名を抱え、数々のデザインを生み出している。

また、グループで観光施設「ミキモト真珠島」を運営しており、歴史的に価値のある真珠の展示や海女の潜水が行われている。過去には英国のエリザベス女王をはじめ、各国のVIPも来館し、真珠文化の発信に努めている。

こうした積み重ねによって、2012年には世界ラグジュアリー協会が発表する「世界で最も価値のあるラグジュアリーブランド100」で、日本で唯一「ミキモト」が選出されている。また、パリのヴァンドーム広場に東洋のジュエラーで唯一店舗を構え続けているのもミキモトだ。当地では店舗を出したいと思って出せるものではなく、世界に認められたブランドの証といえる。

「規模を追わない」経営哲学を貫く

メラニア夫人も訪れた銀座4丁目本店(写真:ミキモト提供)

経営の観点からミキモトをみれば、直近の2017年8月期は、銀座4丁目店リニューアルオープンに伴う費用や訪日外国人によるインバウンド需要の一服で、売上高250億円、営業利益24億円の減収減益決算だった。

バブル期の勢いこそないものの、「品質を落としてまで規模を追う必要はない」という経営哲学を貫き、近年は売上高250億円前後、営業利益30億円前後で安定的に推移している。

2011年の吉田氏の社長就任以降、ボールペンや写真立てなどの不採算だった小物ギフトから撤退。課題となっている国内での認知度向上や男性向け市場の開拓に注力している。販売面では語学堪能なスタッフを50年以上前から店舗に配置するなど、こまやかな顧客対応を続けている。「抜本的な解決策というより、一つひとつ丁寧に、真剣に対応してお客様になっていただくしかない」と吉田社長は話す。

老舗企業の中には、主力事業が時代と共に変わっていった企業も少なくない。そんな中で、ミキモトはジュエリーの販売ひとすじで生き残った希有な例といえる。幸吉が掲げた理念とそれを実現するための幾多の工夫が、ミキモトが100年以上輝き続けるブランドに成長させたといえるだろう。

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