2017年オフ、日米の野球界は日本ハム、大谷翔平の移籍の話題で沸き立っている。前代未聞の二刀流で驚異的な成績(投手として公式戦5年間の通算で42勝15敗、野手として48本塁打)を残した大谷が、移籍が決まったロサンゼルス・エンゼルスでどんな活躍をするかは、日米野球ファンの大きな注目だ。
テレビの街頭インタビューでは、日本からの野球選手の人材流出への賛否の声が聞かれた。「日本の高校野球で育った選手が、本場アメリカで活躍するのを見るのはうれしい」という声がある一方で、「いい選手がどんどんアメリカに行って、日本の野球は大丈夫なのか」と懸念を示す人もいる。
メジャーで通用するのは至難の業
野茂英雄が1994年オフに近鉄からロサンゼルス・ドジャースに移籍してから23年、日米の野球の関係は明らかに変質しているといえる。
まずは、日本からアメリカに渡った選手の成績をざっくりと見てみよう。
NPB(日本プロ野球)出身初のメジャーリーガーは、1964年に南海からサンフランシスコ・ジャイアンツ傘下のマイナーチームに野球留学していた村上雅則だ。それ以降50人以上の日本野球育ちの選手が海を渡ったことになる。
(1試合だけ投げたイチロー、青木宣親を除く。米と日本の二重国籍のマイケル中村を含む)
・通算50勝以上 7人
(野茂英雄123勝、黒田博樹79勝、岩隈久志63勝、ダルビッシュ有56勝、松坂大輔56勝、田中将大52勝、大家友和51勝)
・通算30セーブ以上 5人
(佐々木主浩129、上原浩治95、斉藤隆84、大塚晶文39、長谷川滋利33)
・オールスター選出(試合出場なしも含む)9人 延べ13回
(ダルビッシュ有4回、佐々木主浩2回、上原浩治、斉藤隆、岡島秀樹、長谷川滋利、岩隈久志、野茂英雄、田中将大各1回)
この中に名前が出た選手をMLBでの成功者とすると、41人中13人だ。「NPBで活躍した投手は、即そのままMLB(メジャーリーグ)でも通用する」とは言いがたいことが見えてくる。
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