「やっぱり男は肉食系」に困惑する男性の心理 その後「草食系男子」はどうなったのか

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『an・an』(2010年11月10日号)特集「サヨナラ、草食男子!」の中の「被害者座談会 いっそ絶滅してくれたらいいのに…(怒)草食男子との疲れる恋・被害報告!!」では、トリンドル玲奈さん、IMALUさん、そして、手島優さんの3人が草食男子についてそれぞれの見解を述べています。

手島さんは、草食男子が嫌いな理由を次のように説明しています。「意味不明の生物ですね。それに対して、肉食男子はすぐ態度に出て、わかりやすい」。どちらの雑誌の特集にも共通しているのは、男性のやさしさを重要視しつつ、普段の関係は対等を望みながら、いざというときには男からビシッとリードしてほしいという女性の願望です。森岡さんが言うところの「女性のワガママを並べた内容」だといえるでしょう。

ただし、草食系男子とはミスマッチですが、こうした女性の願望を叶えることに喜びを感じる男性が少なからずいるのも事実です。恋愛において組み合わせの問題は、極めて重要だといえます。

無理に「常識」に合わせる必要はない

今日から振り返ると、草食男子・草食系男子は、「男はリードする側/女はリードされる側」という既存の枠組みから外れているがゆえに新しさがあったわけですが、元の関係性へと引き戻す力のほうが大きく、積極的な意味づけがうまくいかなかったとまとめることができます。

けんきょさんにとって大切なのは、「常識」とされる男女関係の中で、うまくやれる人もいれば、うまくやれない人もいると理解することです。自分がうまくやれない側だとするならば、無理に「常識」に合わせる必要はありません。

草食系男子という言葉は、既存の男女関係を変えるほどのインパクトは持ちませんでしたが、そうした男性の存在を世の中にアピールすることには成功しました。ひとりの人として見られることを重視する女性もたくさんいます。どういう女性とならいい関係を築けるのかを見極めることが、恋愛成就に向けた第一歩になるはずです。

田中 俊之 大妻女子大学人間関係学部准教授

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たなか としゆき / Toshiyuki Tanaka

1975年生まれ。2008年博士号(社会学)取得。武蔵大学・学習院大学・東京女子大学等非常勤講師、武蔵大学社会学部助教、大正大学心理社会学部准教授を経て、2022年より現職。男性学の第一人者として、新聞、雑誌、ラジオ、ネットメディア等で活躍している。

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