グローバル化が進む中、親たちは、子供を世界で通用するエリートに育てるため、日々、努力を重ねている。しかし、若手マザーの中には、子育ての仕方がわからず、周りの助言にも恵まれないケースも多い。そこで、一般的な家庭ながら、子供を国際弁護士、国際金融マン、海外著名大学教員、公認会計士に育て上げた著者が、読者の皆様からの子育て相談に回答する。
優しいだけが愛ではない
親は子供を愛するがために、ともすれば子供を甘やかしすぎて、厳しい局面での人格形成がおざなりになる場合も少なくないと思われます。今回は一見、平凡ですが、重要なメッセージを含む言葉で子供さんを教育された家庭のケースから、学びたいと思います。
【東京大学 Tさんの寄稿文]
私が両親に強く言われたことは、「本当に強い人はやさしい」「他人が嫌がることはしてはいけない」この2点です。あとはまったく自由だったため、自由奔放に勉強なりゲームをしました。そのため、ゲームの本当の楽しさばかりでなく、勉強の本当の楽しさも、自分で発見できたように思います。ただ、上記の2点を強く言われたため、つねに他人からどう思われているかを気にしたり、他人に必要以上に優しく接してしまったりする自分がいます。
とても大事なことなのかもしれませんが、本当に相手のことを思っているのならば、場合によっては突き放すことも優しさなのだと考えます。
私が親になったならば、とりあえず子供に好きなことを好きなだけさせます。その結果、他人に危害を加えたり、社会的に見て問題であると判断した場合には、すぐに子供を力ずく、もしくは精神的に制するのではなく、子供に問いかけ続けると思います。
それにはどんな意味があるの? 自分がされたらどうだろうか? 何か生産的な行動なのだろうか?……等々。これによって考える癖をつけさせ、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを小さい頃から回せるような人間に育てたいと考えています。
<パンプキンからのコメント>
獅子はわが子を千尋の谷に落とす
「厳しい愛」といえば真っ先に、「獅子はわが子を千尋の谷に落とす」ということわざが思い浮かびます。近年、いろいろな動物の生態を、詳しく知ることができるテレビのドキュメンタリー番組が増えました。子供が自立すべき時期がくると、母親が子に餌を与えず、または運ばないで自立を促す厳しい愛情行動に出るのは、ライオンから小鳥まで、例外がないようです。
これまで子ライオンに愛情をたっぷり注いで育てていた母ライオンが、子離れの時期になると、手の平を返した態度で子ライオンを追い払うシーンを撮った番組を見たことがあります。映画「キタキツネ物語」をご覧になられた読者も多いと思いますが、優しかった母ギツネが子ギツネを自立させる時期と判断すると、態度を急変させて子ギツネを追い払います。
母親の急変した態度の理由がわからない子供は激しく追いすがり、厳しい自然環境の中で子供の生きる唯一の道は突き放すことだと知る母親の子への牙は、時には死闘です。いつ親が食われるかわからない弱肉強食の世界で、子供が自分で狩りができなければ生きていけないと知っているのは親側だけです。
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