経営を考えるとき、まずは「人間」とは何かを考えなければならないことは、案外、論じる人が少ないように思います。しかし、会社など組織の長たる指導者、あるいは社長という立場の人は、マネジメントや経営戦略などの知識に、もちろん精通していることも必要ですが、究極、人間とは何か、人間の本質とは何かということに思いを巡らし、自分なりの人間観を構築しておくべきだと思います。
会社は、多かれ少なかれ、社員を雇用し、社員に活躍してもらう場です。その社員は、「人間」。個々の社員の特徴、特質で、それぞれの社員を配置し、その成果を期待するということになりますが、やはり、個々の特質、性格、得意だけを考えるだけではなく、それぞれの社員を貫く「人間としての根本的本質」を把握し、そのうえで、それぞれの社員の特質を考えることが大切ではないでしょうか。
どのような人間観を構築すべきか
では、どのような人間観を構築すべきか。それは、それぞれの長たる社長なり、指導者なりが考えることですが、申し上げておきたいことは、なにも学問的な形で構築する必要はありません。いくら、客観的であっても、哲学的であっても、その人間観によって、社員がやる気をなくし、会社が衰退するようなことであれば、そのような人間観は、百害あって一利なしということになります。
おおよそ、人間とは何かというような定義は、それぞれの哲学者や識者、論者によってさまざまで、これが絶対的に正解だというものはありません。絶対的正解がないというのなら、社長たる者、指導者たる者は、会社が発展するような、社員がやる気を起こすような、社会全体が明るくなるような、自分なりの人間観を構築すればいいのです。
その人間観に基づいて社員の特質や性質、特徴を活用する。そのうえで、実践哲学を感じさせる「哲人経営者」が求められると思います。筆者は2045年の技術的特異点(technological singularity)を通過した後には「哲人経営者」の時代がやってくると思います。
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