「学資保険」を信奉する人が気づかない切り口 「お得かどうか?」の問いが実はナンセンスだ
利息がほぼゼロの預貯金と比べると利回りの差は確かに大きい。現在定期預金の金利は1年で0.01~0.1%程度、長期でもほとんど変わらない。ソニー生命の200万円を受け取る学資保険と条件をそろえて比較すると以下のようになる。
保険料月額8392円、18年間の払い込み総額181万2672円、保険金200万円(40万円×5年)
保険料と保険金の差額は約18.7万円(契約者が30歳男性の場合、執筆時点でソニー生命のHPで試算)
貯金額月額8392円で積み立て、金利0.1%で複利運用した場合、18年間の払い込み総額約181万2672円
預金残高182万5706円、利息額1万6355円
上記のように、両者を比較すると17万円程度と10倍もの差がある。このように利回りが高く、そして生命保険の機能まで付く。一見するとお得に見える学資保険だが、FPの視点から見ると、必ずしもオススメはしない。その理由は以下のとおりだ。
学資保険のリスクとは?
(1)元本の保証性が弱い(信用リスク)
学資保険に限らず、終身保険個人年金保険など積立型の保険全般にいえるが、保険による貯蓄・運用は元本保証がなされない。普段の相談でもすでに加入している人には、「保険会社が潰れないかぎり」貯蓄とほぼ同じ扱い、なので無理に辞める必要はない、と説明する。
保険でおカネを貯めることは銀行や信用金庫とはまったく意味が違い、保険会社の破綻リスクがある。利回りが預貯金より高いのはそのためだ。保険会社はそんなに簡単には潰れない、という人は金融危機で実際に保険会社が破綻したことや、現在では5年に1回くらいのペースで金融危機が発生していることを知らないのだろう。
(2)金利上昇リスク
学資保険は中途解約をすれば元本を大きく割り込むケースが多い。つまり契約期間中に金利が上昇しても解約しにくいため低利で長期固定運用となり損をする、厳密にいえば儲け損なう可能性がある。生まれてすぐに加入すれば契約期間は20年近くに及ぶ。現在はアベノミクスによる金融緩和中で短期間に金利上昇が起きることは考えにくいが、長期で考えた場合は当然のことながら金利上昇リスクも考慮する必要がある。
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