転勤でヘコむだけの人とバネにできる人の差 新しい環境でワンランク上の仕事を習得可能

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地域に溶け込まなければならないという難題はあるが、転勤には、さまざまなメリットがある。

その1つは、東京にいるよりもワンランク上の仕事ができることだ。東京は顧客数が多いので、仕事が細分化され、若手の仕事の範囲は限定されている。それに対して、地方では顧客数が少ないので、1人ひとりの守備範囲は広くなる。総務から営業、生産管理までなんでもこなすことだってある。

1つ上、あるいは2つ上の階層の仕事をすることになるので視野が広がる。東京に戻ったときは、上の階層の仕事を理解しているので、自分の仕事の立ち位置を客観的に理解しやすい。

研修で東京の同期と話していたら、自分の裁量が大きいことがわかりました。本社では担当エリア・担当業種が細かく決められていますが、うちの支店では攻め込む業種は自由。自分の努力次第でいろんな戦略を立てられるとわかり、モチベーションが一気に上がりました」(法人営業・23歳)

リーダーになれるのも、どうやら東京より2年程度早いようだ。まとめる人数は東京より少ないので、いい練習になりそう。早くリーダーになりたい」(保険・23歳)

人が少ない分、いろんな仕事を覚えられる

また、一般に、転勤先では東京にいるときよりも、高い職位の人とやりとりするケースが多い。

「うちの場合は、課長クラスでだいたい2階級上の扱いをされるし、地元の名士の1人としてさまざまな場に出ることもあります。ところが、東京に戻っても偉そうにしている『2階級特進の大勘違い野郎』が少なくありません。そこは気をつけたほうがいいが、立場をわきまえれば、若手でもそれなりの扱いを受けるので、いい人脈を築くチャンスだといえるでしょう」(前出のA人事部長)

戻ってからも、「地方に行ったことで季節や特産物などに敏感になり、営業トークが豊富になった」「家族や自宅のありがたみがわかった」「引き出しが増えた気がする」「親しい地域ができて楽しい」といった具合にメリットは多い。

もっとも、どれだけ転勤の意義がわかっていても、知らない地に行くのは、いくつになっても気が重いものだ。

「社をあげてのプロジェクトの立ち上げ要員として、自分が某国の僻地に行く羽目になったときには、意義を一番知る立場でありながら『なんで俺が?』と思ってしまいました(笑)」(前出A人事部長)

楽しい転勤になるかつらい転勤になるかは実は本人次第。一生涯の楽しい思い出となるような転勤にしたい。

竹内 三保子 カデナクリエイト

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たけうち みほこ / Mihoko Takeuchi

明治学院大学経済学部卒業後、西武百貨店入社。紳士服飾部、特別顧客チームを経てフリーライターに。その後、編集プロダクション・カデナクリエイトを設立。流通業で培った顧客視点で執筆を行っている。共著に『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』『クイズ 商売脳の鍛え方』など。最新著に『課長・部長のための労務管理 問題解決の基本』(カデナクリエイト著・マイナビ出版)。

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