大銀行の人事異動は、とてつもなく理不尽だ 「銀行渉外担当 竹中治夫」第8巻を読み解く
銀行員の給料は高い。東洋経済などの生涯年収ランキングなどでは、三井住友、三菱東京UFJ、みずほのすべてのグループが日本の企業のなかでベスト100に入っている。
従業員数も3グループとも連結で3万人を超える巨大な組織である。日本企業のなかでも相対的に高い給与で多くの優秀な人材を集め、集団として機能させ、組織の秩序を維持していくための仕組みが銀行にはたくさん張り巡らされている。
入行年次と出身大学についてのマニア
たとえば、都銀の銀行員は同僚の入行年次と出身大学についてのマニアである。この情報と現在のポジション、本人の能力・実績の掛け算で同僚たちの将来の可能性を値踏みしつづけるのが銀行員の習性である。つまり春と秋の人事こそ銀行員にとっての最大のイベントでありエンターテインメントになる。
竹中治夫には悪いが、読み手にとってはこの銀行の人事が面白い。『銀行渉外担当 竹中治夫』第8巻はそんな竹中治夫と銀行の人事の理不尽が思う存分楽しめるストーリーになっている。
銀行の面白い人事の慣習として、同支店内で結婚したら左遷人事とか、離婚したら出世コースから外れるというのがある。自分の家庭の秩序さえ守れない人材には銀行の仕事は任せられないということなのだろうか。
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