「面接で禁じているのは法律ではなく、厚生労働省が定めている面接のガイドラインです。本人の能力以外のことが採用に影響してはいけないので、聞くのはやめましょうというわけです。一方、個人情報保護法とは、会社が『個人情報』として収集して管理しているものを外部に漏らさないように保護する法律。ですから社員同士で聞くことについては、個人情報にあたりません」(荘司氏)
「あの人、ああ見えて東大卒だって!」「課長のところ、先週、赤ちゃんが生まれたんだって」「あの2人、別れたらしいよ」「やだ! 同期のDさん、取引先のEさんと不倫?」……。
「このような井戸端会議的なうわさについては、法律はタッチしてません。唯一取り締まるとすれば名誉棄損や侮辱罪。本当に最悪の場合は、刑事事件に発展することもあります」(荘司氏)
ちなみに名誉棄損の要件は3つ。1つは公然と不特定多数の人に漏れる可能性があるかどうか。不特定多数の人に伝わっていく可能性があるのかどうか。2つ目が、その人の社会的評価を下げるかどうか。たとえば、「あの人には前科がある」とか、「会社のおカネを使い込みしたことがある」などは、その例だ。仮に事実でも、社会的な評価を下げる可能性があれば該当する。そして3番目が程度の問題。あまりにひどいレベルであれば、損害賠償が発生したり、最悪、刑事告訴されることもある。うわさ話もほどほどにしておくほうが無難そうだ。
「急ぎでAさんの連絡先を教えてください」への対処法
「急ぎなんですが、Aさんのケータイの番号を教えてくれませんか? メールアドレスでもいいよ」――。電話の取り次ぎをする機会が多い若手社員の中には、こんなケースに遭遇した人もいるのではないだろうか。
アドレスや会社が支給しているケータイについては、多くの場合、外からの問い合わせに対して、ケータイの番号やアドレスは教えるのか、それとも本人の了承なしには教えないのかを社内、あるいは部門ごとに決めているので、わからなければ確認しておこう。
悩むのは、会社からの支給がなく、個人の携帯電話を仕事にも使っているケースだろう。
「個人の携帯電話の番号を無断で外部に教えれば、これは、個人情報保護法にひっかかる可能性があります。部下であっても会社の人間。会社が預かった携帯の電話番号という個人情報を漏らしたということになるわけです。場合によっては漏らした本人と会社(使用者責任)が、損害賠償義務を負うこともあります」(荘司氏)
携帯電話の番号だけでなく、同僚の自宅住所や年齢、家族構成などを、本人の断りなしに漏らすこともNGだ。
これまで述べたように、会社にはさまざまな情報があふれているが、若手社員が、どの情報は機密で、どの情報はそうではないのか判断するのは難しい。本来は会社の教育の問題だが、習ってないから知らなかったでは済まされないケースもある。
新しい情報にふれるたび、その情報は「企業秘密」か「個人情報」か「単なる井戸端会議」か、考える癖をつけておくといいかもしれない。
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