東京で食べログ「カレー」の点数が高い街とは どの街が大都市・東京のトップに輝いたのか

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グーグルで「カレー 食べログ」と検索して出てきた食べログの説明文には、「お探しのお店は東京に多く、特にカレーライスのお店が多いです」と書かれていた。

実際に食べログで全国のカレー店1200店ランキングを見てみると、都道府県の内訳で東京が約50%を占めている。

「カレーで有名な街」ができていく仕組み

東京の中でも、ランキング上位に入る街には多くのカレー店が集まっている。こうした、同業種の商業集積地の代表例としては、パソコンや家電、アニメの街である秋葉原が例としてわかりやすい。

その街の中では商品やサービスが比較できる“競争”と、消費者がその街に行くことで確実に目的を満たせるが故の“依存”の関係が生まれる。同じようにカレーの場合もランキング上位の街には、こうしてカレー目当ての人が通うようになり、カレー店もまた増えていく。

ただ、そうした地域では店舗間の競争が通常よりも激しくなる。カレー店を新規出店するための初期投資額は、カウンター10席程度の店舗でも1000万円が最低ラインだ。新規参入して人気店の地位を勝ち得るためには、すでにある店を比較し、安易に同系統になってしまわないことが必要だろう。

最後に、もっとカレーを楽しめるようになるトリビアを3つほど。

まず、インドカレーのナンは、インドではポピュラーではない。ナンは精製された小麦粉で作るため、インドでは高級品になる。来日したインド人が、日本で初めてナンを食べることもある。また、本場のインドカレーには小麦粉は使われない。

次に、インドカレーを作っている料理人や、インド料理を出すレストランのスタッフには、実はネパール人が多い。そうは言っても、インドで働いていた経験を持つネパール人コックも多いようで、インド料理としての味は保障されている。

最後に、一晩寝かしたカレーが美味しい理由は、ジャガイモなど野菜が溶けてコクが増し粘度が高くなり口当たりがよくなるから。うまみ成分が深まり、味が変わり美味しくなった訳ではない。カレールウを手掛けるグリコのサイトでもそう説明されている。

インドからイギリスにわたり、そして明治時代に日本に来たのがカレーだ。それから150年、日本で独自で進化した国民食、カレーは老若男女、誰からにも愛されている。甘口から辛口まで、バラエティに富んでいる。入れる具材もさまざまだ。最近は、ご飯でダムを模した壁を作るダムカレーや中華料理店が提供する中華風カレーもある。カレーはこれからも進化し続けていくことであろう。

それぞれの街ごとに行われるカレー・フェスティバルも、年々、参加者が増え、多様性を秘めている。ぜひとも、新しいカレーの魅力探しに、スパイスの香りに誘われていろんな街を訪れてみてほしい。

新山 勝利 研修講師、マーケティングコンサルタント

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にいやま しょうり / Shouri Niiyama

専門領域は店頭マーケティング、購買心理プロセス、顧客満足度。飲食店のコンサルティングでは、点数を分析したデータ主義で売上向上を図り「食べログ」の評価3.50点達成を推進する。顧客満足を高める販売促進、店舗の活性化や売場づくりのためのノウハウを提供。メーカーや全国の商工会議所などの団体、広告代理店、卸売、量販、チェーン店などが主要顧客。他業界の成功事例を用いて、写真や図表を活用した説明を行う。世界30カ国、150都市を歴訪。中でもフランス・パリには30回訪問。諸外国の先進的な産業事例にも造詣が深い。多数の専門誌に執筆するほか、各種マーケティング学会で論文発表。著書に『売れる商品陳列マニュアル』(日本能率協会マネジメントセンター)など。公式サイトはこちら

 

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