状況に合わせてPDCAサイクルを回す
一見すると、ゆるくていい加減に見える。はた目には、あまり一生懸命やっているようにも見えない。ところが、状況に合わせてPDCAを何度も回していると、みるみるうちに、プロジェクトが大きく成長していく。いつのまにか人員も増え、予算も増え、それが成果につながっていく。このスピード感は、体験したものでないとわかりにくいかもしれない。
一方、典型的な根回し型の組織では、仮に当初の想定とずれた事態が発生しても、最初の計画を期中に変更することは難しい。それは全員の合意が得られた計画だからである。みんなが賛成した計画を一部の人が勝手に覆すと、あとで責任を問われるかもしれない。
計画に縛られて身動きがとれない。仕組みが硬直化しているため努力が成果に直結しない。計画どおりにやろうと必死に努力しても、計画そのものが間違っていたということになりかねない。
米国流のプロジェクトの進め方は、より少ない労力で、よりスピーディに成果を生み出すことができる。一見、いい加減に見える米国人のやり方は、実は変化に強い、合理的なやり方だったのである。
ありとあらゆる不測の事態を想定して、真面目に、緻密に、何ページにもわたる分厚い計画を立てたがる日本人が多いが、その労力が報われる時代は過ぎ去った。小さく、手早く始めて成長を加速する米国流の仮説検証型プロセスを理解しておくと、彼らとの仕事もうまくいくはずだ。
そして、忘れてはならないのは、米国人にも彼らなりの根回しがあるということだ。全員の意見をすり合わせてからでないと行動に移れない日本人と異なり、米国人はそれぞれ意見が異なるのは当たり前だと思っているから、違いを明確にしたうえで、合意点を見つけることに手間を惜しまない。
まず関係者から意見を出させ、おおまかな合意点を見つけて、それを仮説にまとめあげる。実行したら、関係者にひととおり意見を出させたうえで検証する。だから実は、かなり小まめに関係者の意見を吸い上げ、それを反映したプロジェクトになっているのだ。最初にコンセンサスを得るか(得られるまで何もできない)、走りながら徐々にコンセンサスを作り上げていくか、という違いなのである。
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