"ダメな会議"症候群を脱するには? 真のPDCAサイクルを修得せよ

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その基本がPDCAによる仮説検証プロセスだ。「Plan(仮説)→Do(実行)→Check(検証)→Action(次のアクションへ)」の一連のサイクルを回しながら、どんどん仮説の精度を高めて成果を生み出していくのが、PDCAの狙いである。

PDCAというと、ひと続きの円を描いた上の図を思い浮かべる方が多いのではないだろうか。だが、この図は根本的に間違っている。

PDCAは1回転して元のPlanに戻ってくるのではない。最後のActionが「次のアクションへ」となっているように、今回の仮説検証を踏まえて、次のPlanは一段階上のレベルからスタートするのである。だから、PDCAはらせん状に描くのが正しい(下の図)。PDCAは本来「継続的な学びのプロセス」なのだ。

このPDCAを1週間、1カ月、3カ月単位で回していくことで、最初に立てた仮説を徐々にチューンアップし、学びを通じてより洗練された戦略へと進化させ、成果に結び付けるのだ。途中で何度も軌道修正が入るから、期末間近になっていきなり目標未達が判明して慌てる必要もない。

毎期目標を達成できないのにその状況が改善されないのは、PDCAのCheckとActionがまともに機能していないからだ。それを意味のあるものにするには、期間中に何度もCheckとActionを繰り返す以外に道はない。

今や「時間」は、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」に次いで第5の経営資源となっている。半年かけて成果を生み出すよりも、数週間単位で小さな成果を生み出し、市場に積極的に情報発信をしながら育てることで、ライバルに先んじることができる。「時間」を最も有効に使うやり方が、この仮説検証プロセスなのである。

いい加減に見えた米国人のやり方は先進的

日本的な根回し型のプロジェクトの進め方は、「欧米に追いつけ追い越せ」で目標がはっきりしていた高度経済成長期には有効だった。関係者全員にコンセンサスを取り、緻密なプランを練り上げて、一気に欧米先進企業の市場を取りにいく。

だが、現在は、プランに時間をかけすぎる弊害のほうが大きい。計画づくりに時間をかけすぎて、できたときには陳腐化していたという笑えない話もある。

仮説検証型のプロジェクトは、米国人の得意とするところだ。日本IBMで米国人とプロジェクトを進めることが多かった私は、当初、彼らのやり方に面食らった。こちらが「本当にこんなやり方でいいのか?」と心配になるくらい大ざっぱなのだ。

新規プロジェクトが立ち上がると、つべこべ言わずに、とりあえず最小限のリソースを割り当ててスタートする。うまくいきそうなら、さらにリソースを割いてプロジェクトを進める。不具合が生じたら、そのつど当初の仮説を見直して、次の手を打つ。

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