重要なことをメールする人が知らない危険性 ゲイツもジョブズもメールで失敗している

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どうしようもなく便利であるがゆえに…(写真:bee / PIXTA)

デリケートな話題に電子メールを使うとは…

それが政治的にどんな結果をもたらすのかはまだわからない。

ドナルド・トランプ米大統領の息子ドナルド・トランプ・ジュニアは大統領選挙のさなかの昨年6月、とある弁護士と会いロシア政府からトランプ陣営への協力話を持ちかけられた。このことが問題となり、トランプ・ジュニアはこの会合について事前にやり取りした一連の電子メールを公開したが、デリケートな話にメールなど使うなと言いたくなる。

何も私が反トランプだから言うのではない。私は去年もヒラリー・クリントンの選対委員長だったジョン・ポデスタの電子メール流出問題について、ほぼ同じことを述べた。彼の受信メールは、踏むべきでないリンクをクリックしたせいで洗いざらい盗まれてしまったのだ。

ポデスタの(そして民主党全国委員会やクリントン本部のメールサーバーからの)メールの流出は、クリントン陣営の電子メールの扱いがいかに雑だったかを示した。電子メールはすでに発明から半世紀以上経っており、基本的には安全とは言えないコミュニケーションツールだ。大統領選のように重大な事柄に使うようにはできていない。民主党の電子メール問題は、どれほど現代人がメールのとりこになり、おぼれてしまっているか、そしてもっと安全なものに移行する必要性が高いかを示している。

トランプ・ジュニアの電子メール問題は、この点を改めて強調しただけだ。だが一方で、ここからはメールより優れた次世代のコミュニケーションツールに移行した場合に世界が何を失うのかも見えてくる。それは歴史的な重大事件(の一部)に関する重要な記録の数々だ。

電子メールは使わずに済ませることができない一方で安全性は担保されておらず、どうしようもなく便利であるがゆえに、歴史的事件をめぐる記録を容赦なく暴き立ててしまう。そこには世間がほじくり返したくなるようなあらゆる事件の時と場所と心理状態、つまり「いつどこで誰が」が記録される。

過去20年間は電子メールの絶頂期だった。つまりジャーナリストや歴史家、ホワイトカラー犯罪を調べる検察官といった、力のある組織の中心部で何が起きていたかを正確に知りたいと望む人々にとってはいい時代だったのだ。

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