世界が注目する「ロボティクス家具」とは何か 船場からニューヨーク・デンマークへ進出

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最優秀賞受賞(左から2人目社長・写真:I&C)

予想以上の反響で、なんとキッチン部門の最優秀賞に選ばれました。IoTの先進技術に日本の家具工場の伝統、そして佐田社長の目指す「人に寄り添う家具」のコンセプトが相まって、初出展で最優秀賞に輝いたのです。

この見本市とほぼ同時期、ニューヨーク・タイムズスクエアの近くにショールームも開設。LAPシリーズのほぼすべての商品を紹介し、北米市場開発の拠点として情報発信しています。

なぜ、デンマークの国家プロジェクトに参画するのか

佐田社長の考えるもうひとつの成長戦略分野が「福祉・医療領域」です。電動洗面台は、日本の介護施設、病院ですでに数多く導入され、中国、台湾でも販売実績が上がってきています。これをさらに世界標準とするため佐田社長が選んだのが、北欧の国デンマークでした。

「北欧といえば、家具デザインがすばらしいことで有名ですが、でもその中でなぜデンマークなんですか」。筆者のこんな質問に、佐田社長はこう答えてくれました。

デンマークでの打ち合わせ風景(写真:I&C)

「デンマークは寒くて曇りの日も多く、人々は家の中で過ごす時間が長いのです。そこで快適に暮らすには、共に過ごす家具が大事になります。そのため、デザインもよく機能も優れた家具が発達しました。この点をまず学びたい。また高福祉国家であることから介護費用の負担が大きく、以前から負担軽減のソリューションを実施しています。その先進的な試みにも関心がありました」

さらに聞き慣れない言葉ですが、「ユーザー・ドリブン・イノベーション」についても言及されました。デンマークでは、ユーザーのニーズをベースにすることが国家政策として確立しており、それはまさに佐田社長の目指す「人に寄り添う家具」の考えに合致していました。

こうして3年ほど前からデンマーク大使館にアプローチしていたのですが、先方も、I&Cの電動IoT家具の機能を高評価。デンマーク外務省国家プロジェクトに選出されました。そしてこの5月から、デンマーク第3の都市オーデンセを拠点に「デンマーク×日本」の商品・コンセプトモデルの共同開発に着手しました。

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