世界が注目する「ロボティクス家具」とは何か 船場からニューヨーク・デンマークへ進出

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実際にこの洗面台が設置された特別養護老人ホーム(奈良県五條市)で、利用者の声を聞きました。

「車いすで洗面するのに、洗面台が下りるので便利です」「腰痛で腰が曲げにくいが、高くなるので楽になりました」――。皆さん、毎日使うものなのでたいへんに助かる、と好評です。

電動洗面台の開発には苦労が多かった(筆者撮影)

さらに、人の助けを借りずに洗面できるので、入居者たちの自立心も養えます。精神面でのケアにもいいのです。施設スタッフの方も「洗面での介助が軽減されました。その時間を重度の障害者のために活用できるのが、たいへんありがたいです」とのこと。介護の人手不足が深刻な問題となっている中、その解消策のひとつにもなっています。

ただ、開発には苦労が多かったと言います。「洗面台の排水管の問題がありました。上下に動くストロークを確保しなければいけないので軟らかいホースにするのですが、どうしてもたるみや絡まりが生じます。いろいろ工夫した結果、カーブの部分をプラスチックにしてようやく解決しました」。

種々の工夫が凝らされ、値段のほうも気になりますが、広く普及を目指し、ベーシックモデルであれば市販の洗面台並みに抑えるよう努力しているとのことでした。

「他人と同じことはしない」で営業トップになる

I&Cの佐田幸夫社長(筆者撮影)

佐田社長は大学卒業後、リフォーム系の会社に入社。同期180人と大勢の中で、営業成果を出さねばなりません。皆が飛び込み営業に苦労しているのを見て、大型開発分譲のデベロッパーや近在の大地主にアプローチしました。時間がかかりますが、一度気に入ってもらえれば、大口の契約が獲得できます。「他人と同じことはしない」が佐田青年のモットーでした。

営業セールスがトップとなり3カ月で拠点を任されます。さらに各分野で経験を積み、20代半ばで部下30人を抱えるプレイングマネジャーになりました。その後、実家の木製家具製造会社に戻って専務になり、事業拡大に邁進。軌道に乗ってきたところで独立して、2008年12月に「I&C」を起業します。

社名は「Improvement & Consistency(革新と継続)」の頭文字。手前みそですが、この連載のサブタイトル「サビたらあかん、磨かんと!」に通じるところがあり、ちょっとうれしくなりました。ゼロからスタートして、現在、従業員20人で年商5億円。さらに成長が見込まれます。

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