あきらめない平成起業家の世界を変える"旅" 新世代リーダー trippiece CEO 石田 言行

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「うのあんいっち」で石田の下で活動に参加していた後輩の大学生が評する。「言行さんは名前のとおり、言行一致、有言実行を地で行く人。『世界平和』という目標をブチ上げても、必ず自分で達成すべくトリッピースに全力を注いでいるのだと思う」。

もちろん、一緒に働いてくれる仲間や、力を貸してくれるパートナーだけでなく、若い世代を中心としたユーザーも、石田に共感して集まってきている。石田は言う。「僕らのような若い世代は一般の旅行ツアーには魅力を感じない。決められたものだけを享受することにワクワクしないんです。海外旅行自由化から50年が経ち、旅行に行くこと自体を自慢できるという時代でもない。『非日常の体験』や『自分らしさ』を旅に求める人が増えていると思います」

トリッピースには「値段検索」機能がない。そもそも値段をうたったプランが皆無だ。これまでの旅行は、まず行き先を決めて値段検索をするというのが典型だった。実際、大手旅行会社の広告には格安ツアーが並ぶ。一方で、トリッピースのユーザーたちが求めるのは「どこに、どれだけ安く行けるか」ではなく、「どこで、何を体験するのか」。そして、ひとつとして同じプランはない。価格ではなく、内容で決める。初の海外旅行でハワイではなく「象使い」に行く、といったようなユーザーがトリッピースには多い。

「最後に勝つ人? 根性あるやつだろ」

トリッピースと提携し、同じくユーザー発案型の旅行サービスである「共感トラベラー」を運営するJTBの黒坂多聞・企画開発担当マネージャーは、「『○○を体験しよう!』といったやわらかい表現はユーザーとの距離の近さを表している。トリッピースは今までにない旅行会社の形で、プロダクトアウト的になりがちな業界に一石を投じる存在」と話す。ただ、運用面では「ときどき依頼した仕事が遅れることもある」。創業まもないベンチャーゆえの課題はある。

先述の増資を発表する1週間前の8月2日、石田は自身のブログで、ある投資家の言葉を引用した。「最後に勝つ人? 根性あるやつだろ」。大人たちが何を言おうが、同世代の起業家がどんな成功を収めようが関係ない。脇目を振らず、自分の道を進むだけ。

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