鉄道デザイナーに最も必要な力とは? 新幹線に施される”職人の仕事”

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東海道新幹線を利用する場合、乗る列車は700系、N700系、N700Aだったりする。乗り心地についてN700系とN700Aの違いは私にはよくわからないのだが、700系とN700系の違いはよくわかる。揺れが少ないといった性能上の違いはもちろんだが、車内の細かい部分がN700系は心憎いほど改善されている。

窓側にコンセントがついているのは有名な改善点だが、それ以外にも、たとえば、最前列に座ったときの前のテーブルの長さ。700系のテーブルはやや短くて、パソコンで仕事をするときは身を乗り出さないといけないが、N700系のテーブルは長いので普通の姿勢で仕事ができる。また、N700系には座席の角に取っ手がついていて、車内を移動しているときに揺れたときに、取っ手をつかむことでバランスを保つことができる。(700系の後期車では改善されている)

こうした改善案は誰が出しているのだろう。乗客の意見を聞く「お客さま相談係」といった部署だろうか。あるいは車掌やパーサーか。JR以外の車両メーカーや部品メーカーから提案が出されているかもしれない。でも結局のところ、アイデアをかたちにまとめるのは、車両デザイナーの仕事である。

1985年に旧国鉄が開発した新幹線100系を皮切りに現在のN700系に至るまで、30年近くにわたって数多くの車両デザインを手掛けてきた木村一男さんという方が名古屋にいる。木村さんは名古屋学芸大学の教授である。なぜ名古屋かというと、1989年に名古屋で開催された世界デザイン博で事務方として現場を支えていたという縁があるからだ。

木村さんは1934年生まれ。子供の頃からの鉄道ファンである。

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