生徒指導アドバイザーという職業を初めて耳にした。主に中学生の生徒を対象に、教育委員会や各学校と連携して、暴力や不登校などの問題行動に対応する仕事で、警察OBが就くことが多いらしい。
僕が中学生の頃は、担任や学年主任の教師がすべての「問題行動」に対応していて、ほとんどの場合は力で押さえつけるか、不首尾に終わっていた記憶がある。ちなみに僕はガリ勉優等生だったので、「こんな暴力支配の学校は1日も早く卒業して自由な進学校に入りたい」と願っていた。あれから20年が経つ。今でも付き合いのある友人は、優等生の集まる高校よりも、嫌いだったはずの中学時代の人たちが多いのはなぜだろうか。
話を戻そう。有田仁美さん(35)は愛知県西尾市の教育委員会に雇われている生徒指導アドバイザーだ。経歴はかなり特殊で、20年前は自らが教師たちから指導されまくる超問題生徒であり、中学校卒業後も暴走族を続けていた。その有田さんが27歳で生徒指導アドバイザーに抜擢され、現在に至るまで仕事に没頭しているという。いったいどのような仕事なのか。有田さん自身は何をきっかけに更生し、どんな思いで働いているのだろうか。西尾市役所内の教育委員会を訪れた後、喫茶店に移動して話を聞くことにした。
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