非行少女を救う”元ヤン”生活アドバイザー 更正のきっかけは意外な一言

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――大けがをした経験もあると聞いています。

中学校時代、数日だけ付き合って別れた元彼にずっと嫌がらせをされていました。友だちを後ろに乗せて自転車をこいでいたら、原付(バイク)でわざと追突されたのです。乗せていた子はタイヤで足を引かれて血だらけになり、私はフラフラしながら立ち上がろうとしたところをボーンと蹴られて気を失いました。気がついたら病院の緊急治療室。内臓が破裂していて脾臓を摘出しました。

更正のきっかけけは?

――無茶苦茶だなあ。ところで、有田さんが更生したのは何がきっかけでしたか?

ターニングポイントは、19歳で妊娠して娘を出産したことです。子どもを産むと生活がガラッと変わりますね。友だちは遊んでいる中、私は子どもと2人で公園にいる。自分が産んだ子どもの力には何物もかないません。誰から何を言われたわけでもないのに、自然と母親になっていました。これからはしっかり前向きに頑張っていこうと思ったのです。

もちろん、いろんな人に支えてもらいました。暴走族の相談役も辞めて、夜の仕事を辞めたのも出産がきっかけです。私はモノを作るのが好きなので、子どもが小さな頃は繊維関連の仕事をしていました。

――生徒指導アドバイザーに応募した経緯を教えてください。

知り合いの紹介です。私は「面倒くさいからいいよ」と断りかけました。でも、「ほかの仕事では隠さなくちゃいけない私の過去を生かせる場所はこれしかない」とも感じました。当時、小学校3年生だった娘に相談したら、「ママは話を聞くのが上手だから合っているんじゃない? やってみなよ」と言ってくれたのです。中学2年のときの担任の先生とはずっと付き合いがあるのですが、その先生には「お前に合っている仕事だと思う。でも、のめり込むなよ。家庭がおろそかにならんようにね」とアドバイスをもらいました。

その先生の心配どおり、仕事にのめり込みすぎたことがあります。(問題行動を起こす)子どもたちとのメールをずーっとしていて、娘に話しかけられても「そうだね、そうだね」と受け流していました。ある日、娘に「ママは私より生徒さんのほうが好きなんだね」と大泣きされてしまい、「やばい」と思って、それからは娘が何か言おうとしたら携帯を机に置いて「どうした?」って耳を傾けるようにしています。

――有田さんを採用した教育委員会もなかなか勇気がありますね。

私は人にがんじがらめにされることが何より嫌いで、先生とおまわりさんは敵だと思って生きてきました。そこに飛び込むのだから、履歴書と面接ですべてをさらけ出すことにしたのです。後からとやかく言われるのは嫌だから。ヤンチャをやってきたことのすべてを明かしても採用されるなら、一生懸命に頑張ろうと思いました。
だから、この仕事にはいろんな気持ちが詰まっています。「苦しかったことも含めて、私の人生には全部意味があったんだな、全部つながったな」と思えるようになりました。

――生徒指導アドバイザーという仕事は、1年契約の時給制だと聞きました。有田さんほど頑張らなくても、学校や教育委員会との関係を良好に保っておけば、ゆるーく時給を稼ぎ続けることもできるのではないですか。

この仕事は、ゆるーくやったらゆるい結果しか出ないのです。あれだけヤンチャをやっていた私を覚えていて、嫌な目で見る先生たちも最初の頃はいました。それだけのことを若い頃にやったのだから、当たり前ですけどね。だからこそ、「あの人は何をしとるかわからんね」ではなく、「あの人がおるからこう改善した」という結果をはっきり残していきたいです。

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