非行少女を救う”元ヤン”生活アドバイザー 更正のきっかけは意外な一言

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生徒指導アドバイザーとは??

――業務内容を想像しにくい仕事です。勤務時間や場所は決まっているのですか?

西尾市には4人の生徒指導アドバイザーがいて、担当の中学校はそれぞれ決まっています。でも、先生方から依頼があればいろんな学校に行きますよ。24時間体制で携帯に出て、土日も働くことが少なくありません。

学校に出向くこともありますが、たいていは学校外で生徒本人や保護者と会います。(問題行動を起こす)生徒に近い存在として生徒にじっくり接して、改善・解決に導くことが主な仕事です。

子どもたちは知識を持たずにヤンチャをやっているので、私が経験した段階を何度も話します。髪の毛を染めて、タバコを吸う。暴走族に目をつけられる、暴走族になっていく……。

でも、先生や親から「やめなさい」と言われても、子どもたちが聞くわけがありません。私は「やめなさい」とは言わずに、段階を説明して「そこまでやる覚悟はあるの?」と聞きます。ほとんどの子は耳を傾けてくれますよ。

――僕は蒲郡市に住んでいますが、夜になるとバイクの爆音が聞こえたりしてちょっと怖いです。西尾市も暴走族がいまだに盛んなのですか?

今はずいぶん落ち着きましたが、私がこの仕事を始めた当時は暴走族がいっぱいあって荒れていました。すでに暴走族に入っている子には、「覚悟がないなら今のうちにやめなさい。あなたがやめたいと決断するなら、全力で力を貸すよ。でも、もっと入り込んでからでは力になってあげられない」と伝えます。強制はしません。自分で「やめたほうがいい」と決められるまで、ゆっくりと話します。私が今までかかわってきた暴走族の子は約20人ですが、全員が(暴走族を)やめてくれました。

あるとき、3人の子が暴走族をやめる「けじめ」の場に同行しました。リーダーは「土下座しろや」と命令し、2人は土下座しましたが、1人の子は「土下座まではできん」と拒否。私が見ている手前、恥ずかしかったのかもしれません。でも、それではリーダーの立場がなくなってしまいます。「これは私もやらなくちゃいけないな」と思って、その子と一緒に私も土下座して謝り、許してもらいました。

――暴走族に入るような元気な人は、むしろわかりやすい気もします。言葉すら通じないようなどうしようもない中学生を見放した経験はないのですか。

確かに、いろんな子がいますね。診断されていないけれど発達障害と思われる子もいて、話す言葉に気をつかいます。でも、どうしようもない子はひとりもいないです。むしろ、私がだんだん年をとって子どもたちの感覚から離れていっている。どうしてあげたらいいのだろう、どんな言葉なら伝わるのだろう、といつも考えています。ですから、見放した子はひとりもいません。

――子どもをそこまで信じて、根気よく向き合えるのはなぜでしょうか。

問題は子どもにではなく、家庭にあるからです。絶対に、すべて、家庭の問題です。中学生の子どもの顔を週に1回ぐらいしか見ないという保護者もいます。家庭がしっかりしていたら、ヤンチャをやった子どももすぐに家に帰って来るものです。

家出をした子を探してほしい、という依頼も少なくありません。私の担当中学ではなく、顔も知らない子を探したこともありました。無茶ぶりですよね(笑)。でも、知り合いのヤンチャたちに連絡をして、「この子、知っとる? 大至急探して」と頼んだら、10分後には電話で本人と話すことができました。子どもたちが「仁美ちゃんだから大丈夫だよ」と言っておいてくれたみたいです。で、「どこにおる? 迎えに行くで」とすぐに車で駆け付けて、「みんな心配してるから、いったんは家に帰りなさい。それからまた家を出るなら出てもいい」と話しました。

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