長老が教える、心に「ためこまない」生き方 日々に役立つ、スリランカ仏教の智慧
また、しつこい悪感情に対しては、特に慈(慈しみ、友情)・悲(他の生命を助けたいという気持ち)・喜(他人の幸福を自分のことのごとく喜ぶ気持ち)・捨(一切の生命を平等に受け入れる気持ち)が解毒剤になります。慈悲喜捨という善感情を育て、心を成長させ、その善感情でもって悪感情を解毒するのです。
こうした精神的な善は、悪感情とは違って、努力しないと、頑張らないとたまらないものです。けれども、善感情を頑張ってためていけば、人間はどんどん幸せになっていくのです。
ためる生き方から手放す生き方へ
もっとも、仏教的に言うと、モノのレベルであれ、心のレベルであれ、どんな方法を用いても、「ためこみ」の問題を完璧に解決することは、実はできません。
ためるものがいいものであれ、悪いものであれ、ためるということ自体が、結局執着を引き起こすからです。善行為だけをする人間になってひたすら善がたまっても、そのことに対してまた新たな執着が生まれてしまうのです。
ですから、最終的には「執着をなくす」というところまで、つまり「ためる」世界を乗り越えるところまで進まなくてはいけないのです。そこで、ブッダはこう提案しています。
「ためまくることをちょっとやめて、捨てまくることをしましょうか」
いくらためていっても結局は得るものはなにもない――と理解して、ためたものを捨て、手放していくのです。
ためる世界を乗り越え、捨てることを実行し続けると、必要なポジティブエネルギーがそろいます。それが幸福につながる第一歩になるのです。
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