「言葉にできる」は子どもの強い"武器"になる 息子を東大、イェールに送り込んだ母が語る
感謝より子どもにとって謝罪が難しいのは、時に本人が「悪いと思っていない」ことがあるからです。「弟のおもちゃをとったのは、もともと自分のものだったからだ」など、子どもには子どもなりの理由があります。ですからなぜ母親が怒っているのかを、きちんと伝える必要があります。そのうえで「次からどうすればいいかしら?」と聞き、「対策」までしっかりと言葉にできるようにします。
「〜してごめんなさい。次からは〜して、〜しないようにします」
たとえばおもちゃの取り合いでけんかになってたたいてしまったら、「頭をたたいてごめんなさい。次からはまず『返して』と言って、たたかないようにします」といった要領です。
感謝も謝罪も、どんなに心の中で思っていても、口に出さなければ相手には伝わりません。伝えるときは、何がうれしかったのか、何に対して申し訳なく思っているのか、同じことをしないためにどうしていくのかを、具体的な言葉にして相手に伝える習慣をつけることが肝要です。
私は病院や販売の現場で社員教育を行っていますが、子育てのときとまったく同じことを、社会人であるスタッフにも教えています。感謝と謝罪の方法は、大人になっても大変役に立ちます。早いうちから取り組むことをお勧めします。
病院で病状を説明する
幼稚園くらいからは「自分の言葉で人に説明をする」ということを大切にしていました。
たとえば、具合が悪くて病院に連れて行っても、私は最低限の概略を話し、極力本人に発言させるよう促していました。息子自身に「お腹のこの辺りがこんなふうに痛い」と説明をさせるのです。知らない人の前で、自分の言葉を使って、相手にわかるように説明をする。子どもにとってはかなりハードルが高いかもしれません。でもこのような経験が「言葉で説明する能力」を鍛えることにつながるのです。
先日、次男と話をした方が「行間を埋めるようにお話をされるので、わかりやすいですね」とおっしゃっていました。次男は相手がきちんと理解できているか確認しながら、単語の意味を補足したり、具体例を挟むようにしたりと配慮していることに感心なさったそうです。
自分の考えを相手に伝わるわかりやすい言葉にすることができるかどうかは、非常に重要な能力です。言語の異なる海外の人とであればなおさら必要とされます。これは、コミュニケーションにおける技術の1つと言ってもいいかもしれません。幼い頃からの「自己紹介」「感謝と謝罪」「病状の説明」などといった小さな積み重ねが、将来、世界で活躍するための基礎となるのです。
(構成:黒坂真由子)
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