日本の「規制緩和」が遅々として進まない事情 「司法」は「行政」に遠慮しすぎていないか
「規制改革推進会議」への失望感と違和感
アベノミクスが掲げる3本の矢のうち、最も期待されながらも「道半ば」と批判され続けてきたのが「第3の矢=投資を喚起する成長戦略」だ。安倍晋三首相も、常々「規制改革が一丁目一番地だ」と言い続けてきた。
その規制改革の方向性や内容を協議する組織が「規制改革推進会議」である。前身の「規制改革会議」を踏襲する形で設立された諮問会議。同推進会議が検討してきた「答申」が、この5月23日に安倍首相に提出された。
提出された答申の内容については新聞等で細かく報道されたため詳細は省くが、「規制改革 新味乏しく」(日経新聞)あるいは「規制緩和 踏み込み不足『混合介護』見送り」(朝日新聞)といった具合に、メディアでの評価はあまり芳しくなかった。実際に「労働基準監督署の業務の民間開放」や「行政手続きコストの2割削減」など、一部で目新しいものもあるが、次のような項目で具体策が先送りになるなど、中途半端なものが多かった。
・保険外サービスなど「混合介護」の本格解禁
・勤務地や仕事内容を限定して働く「限定正社員」の雇用ルールの明確化
・自家用車でのライドシェア(相乗り)の解禁
・不動産登記情報のネットでの無料公開
規制緩和がどんどん進んでいく海外諸国に比べて、日本の規制緩和は遅々として進まない。金融業界に限っていえば、規制の大半を撤廃した香港やシンガポールが、かつて3大金融市場といわれた東京市場を凌駕する「国際金融センター」に成長してしまった。
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