日本の「規制緩和」が遅々として進まない事情

「司法」は「行政」に遠慮しすぎていないか

こうした一連の規制改革会議の議題や答申内容を見るとわかるのだが、おおむね自民党の支持母体である大企業などが、よりスムーズにビジネスを展開するための規制緩和が主であって、国民や納税者が主となる規制緩和は少ない。

国民が選挙で自民党を選択しているのだから仕方がないと言えばそれまでだが、そもそも同会議のメンバーの選別からして、企業サイドの人間が多い。

突破口として作られた「国家戦略特区」が狙われた?

安倍首相自身が指摘するように、日本にはまだ数多くの「岩盤規制」が残っている。岩盤規制とは、規制を担当する官庁(役所)や族議員、業界団体などが「三位一体のスクラム」を組んで「緩和されること」を阻止している規制のことだ。医療、農業、教育、雇用などの分野に多いといわれるが、解禁されて自由化されてしまえば、各省庁やお役所の役割がなくなり、仕事を失うことになる。政治家もまた「利権」を失うことになるわけだ。

その岩盤規制が、いまだ「道半ば」であることはさまざまなメディアでも紹介されているが、そもそも首相自身が岩盤規制の存在を認めていることにも違和感がある。岩盤規制があるとすれば、その主犯格は行政であり、そのトップが他人事のように「岩盤規制」などと発言することは、自分の至らなさを認めているのと一緒だ。

たとえば、いま世間を騒がせている加計学園の獣医学部新設問題の舞台となった「国家戦略特区」は、首相を議長として内閣府に設定された「国家戦略特別区域諮問会議」が提唱したものだ。岩盤規制を突き崩すための切り札として、全国9カ所に特区を制定して、既存の省庁が介入できないようにした。

そもそも規制緩和は、民間の有識者などを集めて諮問会議をつくり、公平かつ公正な立場で、どの分野のどの部分の規制を緩和すればいいのかを審議させ、そのうえで規制緩和の推進をしていくというのが普通のプロセスだ。その点、国家戦略特区は首相が自ら議長となって、自分の意図する分野の規制を実施していこうというプロセスをたどっている。これまでのボトムアップスタイルとは真逆の「トップダウン」方式のプロセスが採用されている。

そういう意味で言えば、加計学園のスキャンダルが噴出した背景には、岩盤規制を守っているスクラム側の反撃と言えなくもない。とはいえ、「お友達」を優遇したのではないかと疑われるような方法で、数百億円もの資金が動くプロジェクトを推進してしまったところに問題がある。

いずれにしても、日本の規制が綿々と守られ続けている背景には「縦割りの行政機構」があり、省庁が握っている「許認可」の数に問題があると言われてきた。かつて、英国のマーガレット・サッチャー政権や米国のロナルド・レーガン政権時代に「規制緩和(ディレギュレーション)」が景気回復の方法として断行され、それなりの成果を上げた。

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