日本の「規制緩和」が遅々として進まない事情

「司法」は「行政」に遠慮しすぎていないか

ところが、日本では大胆な規制緩和と呼ばれるものが、なかなか実現してこなかった。さすがに携帯電話などの通信事業やIT事業といった、技術革新による時代の変化には対応せざるをえなかったようだが、それでも日本の規制緩和はさまざまな分野で進んでいない。

私事で恐縮だが、私は1994年に日本の規制緩和をテーマにした『官僚統制列島 日本が危ない』(ごま書房)を上梓している。当時の政府が抱えていた許認可数は1万1402件(1993年3月時点)で、年々増える傾向にあったのを覚えている。

当時はまだ政府の財政赤字もわずか220兆円程度で、財政に対する危機意識は低かったが、それでもすでに行政機構には岩盤規制があって、日本の成長を妨げていると指摘する人が多かった。省庁の許認可と族議員や業界の利害関係が一致していて、英国や米国がやったような大胆な規制緩和が実現できない状態だった。

その書籍の中で、私はわかりやすいケースとして、当時の写真集や雑誌でのヌード写真の「ヘア」が突然、解禁されたことを取り上げ、「いったい誰が、どんな権限で、どんなプロセスで解禁にしたのか、不透明すぎる」と批判した。米国では、きちんと最高裁が「人間の体には猥褻(わいせつ)な部分などどこにもない」という判決を出して、その瞬間にオール解禁になった。

言い換えれば、日本の司法はつねに判断を避けてあいまいのまま放置し、代わりに行政が勝手に判断している状態だ。結果的に日本は規制緩和が進まず、経済の成長を阻害しているわけだ。

ちなみに、現在の省庁の許認可数は1万4908件(総務省行政評価局、2015年4月1日現在)。近年ずっと1万4000件台で横ばい状態だ。許認可というのは、許可、認可、免許、承認、検査、登録、届け出、報告等といったもの。最も多くの許認可を抱えているのは、国土交通省で2699件に達する。なお、1993年3月時点で最も多くの許認可を抱えていたのは通商産業省(現経済産業省)で1986件だった。

日本の規制緩和が遅れているのは「司法」の怠慢だ!

さて、日本ではなぜこうも規制緩和が進まないのだろうか。綿々と続けられている規制緩和のための諮問会議も、高い税金を使って有識者を集めている割に、大胆な案はさっぱり出てこない。

岩盤規制を守っている三位一体のスクラムを組んでいるグループに対して、「忖度(そんたく)丸出し」「配慮だらけ」の答申しか出てこない。政府があらかじめ作った原案をそのまま踏襲するだけの答申しか出せない。そんな会議や制度が必要かどうか疑問だし、官僚や政治家の干渉を受けない抜本的な規制改革を打ち出せるような仕組みに変えたほうがいいだろう。

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