つまり、好意や共感をもっていない人の話は、何をいっても聞いてもらえないのです。
会社で女性から話を聞いてもらえなかったとき、ボクはこんな経験を繰り返していました。会議で、自分が発言したり資料を用意すると、女性上司から「何言ってるかわからない!」と一蹴される。その直後に、別の男性社員がボクと同じ内容を同じふうに伝えると、なぜか「そう言ってくれたらわかる!」と100%肯定。まるでスポーツのアウェー判定じゃないか……って悔しい思いをしましたが、周りを観察してみると同じ現象が起きていることに気づきました。
「話を聞いてもらえる男性」は固定化されている
女性に話を聞いてもらえる男性・もらえない男性はほぼ固定化されていて、たとえ同じことを話しても結果は同じ。聞いてもらえる男性はずっとホーム判定で話を肯定的に聞いてもらえます。もらえない男性はずっとアウェー判定、聞いてもらえないという結果が繰り返されやすいようです。
あとから勉強して気づいたことですが、これは心理学でいう「プライミング」という効果のようです。人種、性別、肩書、性格や評判などの相手の属性が、その人のパフォーマンスに対する評価を大きく左右する現象のことです。ある同じ資料を見せる際、これはデキるひとのAさんが作りました、と見せる場合と、デキないひとのBさんが作りました、と見せる場合では、「この資料はわかりやすいですか?」という質問への回答が大きく変化します。デキるAさんの資料と聞かされると「わかりやすい」と評価され、デキないBさんの資料と聞かされると「わかりにくい」と評価される傾向にあるそうです。
特に女性の場合は、相手に好意や共感を覚えた人を支援して、そうでもない人には支援をしたがらない傾向が強い。そっか、ロジックや伝え方がうまくても、ヒューマン要素が低いと女性には話を聞いてもらえないんだ、とようやく気づきました。
女性に話を聞いてもらえない男性は、伝え方やロジックを磨いても好意や共感が低いままでアウェー判定が続くだけ。女性に好意や共感を持ってもらうよう「話し手の自分が変わる」ことが、ホーム判定を得るための、一見遠回りだけどいちばんの近道なんです。
「自分が変わらなくてはいけない」と言われるとすごく難しく感じられますが、何も性格を変えるとか性根をたたき直すという意味ではありません。コミュニケーションにおいて自分が変わることは、コミュニケーションの「周波数」を増やすこと。周波数とはテレビのチャンネルみたいなもので、コミュニケーションする際に出てくるキャラクターやスタイルです。
ボクや女性に聞く耳を持ってもらえるようになった男性の体験を分析すると、今までは女性が絶対チャンネル合わせないようなコミュニケーションしかできなかったところ、ある体験を通して女性が耳を傾けやすい「周波数」を増やすことができていました。その体験とは大きく2つに分類できます。
① 言葉が通じない経験
日本語が通じない国、大人の言葉が通じない子どもたちやお年寄りの集まりに1人飛び込んだ経験です。普段自分が使う言葉が通じない環境に入ると、相手を観察して相手と気持ちを交わさなくてはと必死になります。覚えたばかりの相手の言葉を使ったり、身ぶり手ぶりを使ったり、分かりやすい例え話に変換したり。コミュニケーションの原点に戻ることで、女性もちょっとチャンネルを合わせてみようかしらと思うような周波数を発するようになります。
② 修羅場経験
仕事やプライベートで、大きなピンチや失敗に出くわす経験です。ピンチや失敗を経験すると2つの変化が現れます。自分の弱さを余裕持って表現できるようになることと、相手の悩みや弱さに共感できるようになることです。ピンチや失敗を経験してない人、ピンチや失敗の可能性があるチャレンジをしたことない人にはなかなか出せない周波数により、女性にちょっと話を聞いてみようと思わせます。
子どもの頃、2、3日家族のもとを離れて親戚や知り合いの家に小旅行して帰ってくると、母親や姉妹から「なんか、ちょっと変わったね」と言われた経験はありませんか?
女性が話に耳を傾けたくなる男になれるかどうかは、ロジックや伝え方より、チャンネルを合わせたくなる周波数が出る体験をしたかが重要。それはオトコにとって、子どもの頃の2、3日の旅行に通じるものがあるのかもしれません。
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