ギャンブルの様相呈する「不妊治療」の最前線

米国で増えるパッケージプランの実態

お得に見える不妊治療のパッケージプランだが真実は…(写真:FamVeld / PIXTA)

治療がうまくいくほど損をする?

現代の不妊治療技術の助けを借りて妊娠を試みることは、カジノでありったけのカネを賭けるのに似ている……こともある。そう、最近の米国の不妊治療クリニックでよく見掛けるパッケージプランの売り文句には要注意だ。

バージニア州リーズバーグに住むクリスティ・チェンバーズと夫のカールトンは、数回の流産の後、クリニックから提示されたパッケージプランを受け入れた。この料金プランは、5万ドル超の料金を払えば出産まで何回でも体外受精(IVF)を受けることができ、最終的に妊娠できなかった場合には全額を払い戻すというもの。金額的には1回のIVFに必要な料金よりも2万ドル以上、高く設定されている。

問題は、もし1回目のIVFで子どもができても返金はいっさいされないという点だ。実際、クリスティは1度のIVFで妊娠し、夫妻は大喜びした。男の子が誕生した後、夫妻は似たような料金プランを利用して、今度は双子を授かった。

「不妊治療カジノ」では、可能性の非常に低いシナリオにしばしばスポットライトが当てられる。つまり追加のIVFを無償で行うのと引き換えに、患者が損をする可能性が大きいプランが提示されるのだ。患者はお得に見える条件のために数万ドルというカネを支払う。そして待望の赤ちゃんを腕に抱くわけだが、同時に大金を「すっている」ことにもなりかねない。

勝者はもちろん、胴元……いやクリニックの側だ。医師(およびこうしたパッケージプランの管理を裏で支え、場合によっては経済的リスクを引き受ける第3者の企業)は患者たちのこれまでのデータを注意深く追っている。そして「オッズ」に合わせて利益が出る料金を設定する。

次ページ不妊治療カジノの「いかさま」
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • 本当は怖い住宅購入
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
トレンドライブラリーAD
人気の動画
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
不祥事続く三菱電機、「言ったもん負け」の特異体質
不祥事続く三菱電機、「言ったもん負け」の特異体質
度数1%未満の「微アルコール」が広がる理由
度数1%未満の「微アルコール」が広がる理由
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
私大トップ校の次の戦略<br>早慶上理・MARCH・関関同立

受験生確保や偏差値で高い水準を誇る関東・関西のトップ私大13校。少子化や世界との競争といった課題に立ち向かうための「次の一手」とは。大きく揺れる受験動向や、偏差値や志願倍率と比べて就職のパフォーマンスが高い大学・学部なども検証します。

東洋経済education×ICT