倒産件数8年連続減少に潜む「不都合な真実」 サービス業には倒産が増えている業種も

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1つは、異業種からの新規参入の増加だ。たとえば、SOMPOホールディングスが2015年にワタミの介護事業、翌2016年に介護大手のメッセージを相次いで買収したほか、ソニーが2013年に介護付き有料老人ホームの運営会社を買収して介護事業に進出している。資金力で勝る異業種の大企業が参入したことで、窮地に立たされる中小の介護事業者が増えた。

2つ目は、介護事業者が受け取る報酬の大幅な減少だ。2015年に介護報酬が改定され、介護職員の手当や認知症・中重度の要介護者への対応を拡充した反動もあり、介護事業者が得られる報酬は大幅に引き下げられた。中でも、小規模デイサービスや予防デイサービスの事業者にとっては事業継続に影響を及ぼしかねないマイナス幅となった。

人件費高騰が経営圧迫、法令違反も多い

倒産急増の原因は外的要因だけではない。原因の3つ目が、慢性的な人手不足だ。日本介護福祉士養成施設協会がまとめた調査結果では、介護福祉士を養成する大学や専門学校の入学者は2006年度以降、11年連続で定員割れとなっている。こうした人手不足に対応するために人件費が高騰し、経営を圧迫したわけだ。今回の東京商工リサーチの調査でも、人手不足を原因とする倒産の中で「求人難」によるものが全産業ベースで24件と、前年度比で26.3%の増加となった。

コンプライアンス違反の影響も見過ごせない。今回の調査では、コンプライアンス違反に関連した倒産件数が最も多かったのがサービス業(63件、構成比36.3%)だった。その中でも老人福祉・介護関連が12件で最多となった。

「2015年に金融庁と東京証券取引所がコーポレートガバナンス・コード(上場企業が守るべき行動規範を示した企業統治の指針)を定めたことで、国内でも規範意識が高まった。そういう中で法令違反があると、経営へのダメージが大きい。特に消費者に近いB to Cのビジネスではうわさが広まりやすく、破綻に直結しかねない」(東京商工リサーチの松永伸也・情報部長)

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