ザッケローニ監督に学ぶ、サバイバル決断術 【新連載・第1回】決断力は、スポーツのように鍛えよう

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2.強みを、全体最適とマッチさせる

さきほどの強みが自分からの視点だとすれば、もう一つは、相反するようだが全体/リーダー側から、客観的に見て、全体最適とマッチさせることも大切だ。
チームや組織全体は何を目指しているのか、そのために監督やリーダーが何を期待しているのか、それを把握したうえで、自分の強みをどう活かしていくのかを重ねていく。

新しい企画や創造性のある業務が得意なら、新規事業立ち上げプロジェクトであればその強みは活きる。逆に、ルーチン業務の改善を粘り強くできるなら、細かい管理が苦手な上司のフォロー役にまわるといった具合に、チームの一員として価値を存分に発揮できるかもしれないのだ。

ビジネスもサッカーも、多くはチームで行うものだ。個人プレイで優秀であっても組織やチームの方向性とうまくベクトルをあわせられない優秀さは意味がないも同然だ。全体最適の視点を忘れない決断にこそ、価値がある。

ということで、ザックと日本代表を引き合いに出して、リーダー側と選ばれる側での決断を見てきた。読者の皆様も、「おいおい!そこはパスじゃなくてシュートだろ!!」と選手の決断に文句を飛ばすだけでなく、まず日常のビジネスの中で小さな決断を繰り返すことで「決断筋」を鍛え、大きな成功のチャンスをつかむスタートとしていただければ幸いだ。次回からは、決断筋の詳細なトレーニング法等について見ていこう。

徳谷 智史 エッグフォワード 代表取締役

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とくや さとし / Satoshi Tokuya

京都大学経済学部卒業。企業変革請負人。組織・人財開発のプロフェッショナル。大手戦略系コンサル入社後、アジアオフィス代表を経て、「世界唯一の人財開発企業」を目指し、エッグフォワードを設立。総合商社、メガバンク、戦略コンサル、リクルートグループなど、業界トップ企業数百社に人財・組織開発やマネジメント強化のコンサルティング・研修など幅広く手がける。近年は、先進各社の働き方改革、AI等を活用したHR-Tech分野の取り組みや、高校・大学などの教育機関支援にも携わる。趣味はハンドボール、世界放浪等。ご相談・取材・執筆・講演依頼はこちら

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