ザッケローニ監督に学ぶ、サバイバル決断術 【新連載・第1回】決断力は、スポーツのように鍛えよう

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これらはすべて「決断」だ。目指すチーム像、招集するメンバー、各メンバーの役割、そして、いざ試合が始まれば、状況を見ながらどこでどのカードを切るか…すべて決断である。監督が決めない限り、何も進まない。その決断を実行に移していくためには、協会やメディアと調整・根回しも必要になるだろう。当然、これはサッカーに限った話ではない。ビジネスでも全く同じなのである。

ダメ上司が許されてしまう、「日本ビジネスチーム」

私は、企業の経営支援・決断支援の専門家なので、サッカー日本代表を論評するコラムは専門家の方々にお譲りするとして、以下でちょっと想像してみたい。

戦略やフォーメーションは場当たり的、自分の考えがなく前任監督のやり方の繰り返し、ミーティングは長いが意味なし、協会ばかり向いて選手と向き合わず、結果が出なくても責任はなすりつける、支持率が低くとも気にも留めない…。ここまでひどい監督はほとんどいないとは思うが、以下のようなタイプの上司は、あなたのまわりにいないだろうか?

そう、チームからの人望がサッパリのあの人のことだ。管理職なのに、チームの目指す方向性を語ることはなく、指示は曖昧・場当たり的、自分がみかけ上責任を負って下にチャンスを与えることもない、会議は長いが決められない、…もちろん、自分が課内で人望がないということにはサッパリ気づいていない。

監督だと許されない人物が、いまの日本のビジネスシーンだとなぜか生存していけてしまうのである。しかし、近々必ず淘汰される日がやってくるし、そもそもあなたがダメ上司になってはいけない。これからの時代を生き抜くためにも、組織を率いるリーダーの大きな素養の1つとして、「決断筋」の筋力を鍛えなければならないのだ。

ザックの言葉から学ぶ、3つの「決断」

では組織を率いるリーダーの「決断」とは何か。ザック監督の実際の言葉も踏まえて、リーダーの決断について考えてみよう。

1)目標を決め、他の選択肢を断つ

「他のオファーは全て断った。私は日本代表監督としてW杯に行くのだから」

ザックの監督就任時の言葉だが、日本代表をW杯に連れて行くと自らの全責任をかけてコミットする以上は、「ちょっと負けたら、他国の監督に鞍替えします」などと言うことはもちろんできない。負けても「選手が悪い」と責任転嫁することもできない。

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