ANA、次の新規路線を決めるのは「B787」だ ハワイには大型機、マイルが使いやすくなる

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ANAが運航するB787は、新たな就航地開拓のカギとなる機体だ(撮影:尾形文繁)
2015年度、国際線の旅客数で日本航空(JAL)を抜いた全日本空輸(ANA)。羽田、成田両空港を拠点に、北米、欧州、アジアの全方位で路線を拡大し、この5年で就航都市は29から49となり、1日当たりの便数も4割増えた。
主要な国際都市にはひととおり路線を就航させてきた。一方で、昨年は国内線においてシステムサーバー故障による大量欠航や手荷物の積み忘れ、定員超過など、トラブルが相次いだ。4月に就任した平子裕志新社長は、ANAの課題をどのように認識し、この先の戦略をどう描いているのか。

国内線でトラブルが相次いだ

――ここ数年はかなりハイペースで路線を拡大してきた一方で、国内ではトラブルに見舞われた。

2020年の東京五輪前には羽田の発着枠が再び広がる。これに向けて今後1〜2年は「踊り場」となる。拡大してきた体制の足場を固める。

まず取り組みたいのは、現場力の回復だ。社員に対し、社長としての最初のメッセージとして伝えている。昨年国内で発生した一連の不具合を反省しなければならない。現地、現物、現実の「三現主義」に基づいて、現場を回り、実態の把握に努めたい。

4月に就任した平子裕志新社長は問題を把握するために「現場を回りたい」と語る(撮影:今井康一)

――対策として考えられることは。

まず原因と結果をしっかり分析し、再発防止に努めるということ。さらに重要なのは、未然に防止することだ。ヒヤリハットの段階で、トラブルの芽を潰さなければならない。社員には自分の能力や経験をフル回転させて、普段見過ごしがちなことを再確認してほしい。

──路線数は踊り場に入るものの、今後新規路線はどのように就航させていきたいと考えているか。

われわれは成田と羽田をハブ空港に位置づけ、日本人だけでなく、アジアと北米を行き来する外国人の需要を重視している。成田では夕方、羽田では朝と深夜の時間帯にアジアと北米の便が接続するようにダイヤを組んだ。乗り継ぎの選択肢が1日3つになったことは非常に大きい。

だがほかのアジアのハブ空港に比べて、路線ネットワークが十分でないという悔しさがある。たとえば中国への乗り入れは韓国の仁川(インチョン)よりも随分と少ない。政治的なことも無視できないが、中国はさらに路線を展開できる余地がある。

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