ユナイテッド航空の「惨劇」はなぜ起きたのか 「個人指名の搭乗拒否」は米国では当たり前

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
米ユナイテッド航空がかつてないスキャンダルに見舞われている(撮影:尾形文繁)

米航空大手、ユナイテッド航空の「炎上」が止まらない。米国国内線での不祥事が今週、インターネット上を駆け巡った。事態の鎮火には時間がかかりそうだ。

事が起こったのは、米国東部時間4月9日夜、シカゴ発ルイビル(ケンタッキー州)行きの短距離運航便だ。午後5時40分の定刻出発に向け、乗客の搭乗が完了した後、業務上の理由で乗務員4人が同便でルイビルに向かわなければならない事が判明。事実上の「オーバーブッキング(過剰予約)」となり、乗客が4人、飛行機を降りなければならなくなった。

米メディアによれば、ユナイテッド側は降機に協力する乗客に対して協力金400ドルを、さらに振り替え便が翌日の午後3時発となるため、ホテルの宿泊代も支払うことを提案した。だが、手を挙げる客が現われず、補償金を800ドルに積み増した。それでも協力者が出てこなかったため、4人の客の指名に踏み切ったという。

「強制引きずり下ろし」の衝撃

指名した4人のうち、3人は飛行機を降りることを承諾した。だが最後の一人、ケンタッキー州在住で医師のデイビッド・ダオ氏は、「翌日にケンタッキーの病院で患者を診なければならない」として降機を拒んだ。その後、シカゴ航空局の保安係官が呼ばれ、ダオ氏は席から強制的に離され、通路を引きずられ、飛行機から出されることとなった。その際に座席の肘掛けに顔を強打したダオ氏は鼻を骨折し、前歯を折ったという。

一連の状況を複数の乗客がスマートフォンで撮影し、ツイッターなどのSNSに投稿。瞬く間に世界中に拡散し、「ユナイテッドにはもう乗らない」などという書き込みで埋め尽くされた。日米路線でユナイテッドと共同運航を行う全日本空輸(ANA)にも顧客から懸念の声が寄せられており、「随時ユナイテッドには問い合わせ内容を伝えている」(広報)という。

なぜ保安係官を呼ばなければならなかったのか。ユナイテッドの広報担当者は「(ダオ氏には)なかなか納得してもらえず、だんだんと声を荒げ、乗務員の指示にも従わなくなってきた。乗務員の拘束時間が規則で決まっており、フライト自体がキャンセルになる可能性も出てきた。時間が迫ってきたため、やむなく保安係官にサポートを依頼した。彼らも説得を試みたが納得してもらえず、動画のような形になってしまった」と説明する。

ユナイテッドの運送約款(航空券を購入した客に適用される規定)によれば、会社側には、安全性が脅かされるなどの場合に乗客を航空機から退出させる権利がある。だが保安係官を呼ぶのが適切だったかどうかは不明だ。

次ページ何が一番いけなかったのか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事