LCCが殺到!関空が描く「アジアハブ」の野望 中国、韓国、台湾…若者で溢れる関西の空
あちらこちらで飛び交うのは中国語や韓国語。日本人はほとんど見掛けない。関西国際空港で今年1月28日にオープンしたばかりのLCC(格安航空会社)専用の国際線ターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」は、アジアの若者でごった返している。2月初旬の夕暮れ時、ほとんどが韓国や台湾、中国の若い男女と見受けられた。
それもそのはず、現在このターミナルを利用する唯一の航空会社であるLCCのピーチ・アビエーションは、関空から韓国のソウルや釜山、台湾の台北や高雄、香港、上海に毎日定期便を飛ばしている。しかも同社便の外国人比率は7割を超えているのだ。さらに3月1日からは中国のLCC、春秋航空が新ターミナルからの運航を始める。多くの中国人でにぎわうことになりそうだ。
国内初の空港民営化からまもなく1年
関空は伊丹空港とともに国内初の空港民営化案件として大きな注目を集め、昨年4月にオリックスと仏空港運営会社のヴァンシ・エアポートなどによる合弁会社「関西エアポート」が空港運営権を取得した。まもなく民営化1周年を迎えようとしている。
関空に就航する便数はここ数年、LCCが牽引する形で急増中だ。昨年10月から今年3月までの国際線の冬期ダイヤでは、過去最高の週1131便が運航する。そのうちLCCは週390便で全体の34.5%。5年前はわずか7.5%だったことを考えれば驚異的な伸びだ。
関西エアポートのエマヌエル・ムノント副社長は「アジアから飛んでくるLCCのハブになっていきたい」と鼻息が荒い。
最も便数が多いのは週82便を運航するピーチだ。同社は国内線も展開しているため、関空が乗り継ぎ拠点となっている。今年6月末からはマレーシアのエアアジアXがLCCとして初めて関空―ハワイ・ホノルル線を就航する。同社はマレーシアのクアラルンプールからも関空に路線を張っており、「関空が太平洋横断のハブになるための第1ステップになる」とムノント副社長は満足げだ。
ムノント副社長の出身母体であるヴァンシ・エアポートは世界6カ国で34空港を運営。ムノント氏自身も多くの空港にかかわってきた。「たとえばヴァンシが運営するポルトガルのリスボン空港は欧州LCCの大手、イージージェットのハブだ。生かせる知見は十分にある」。他の空港での成功モデルを関空にも取り入れようとしている。「ホテルや飲食店、小売店など、乗り継ぎ客に便利なサービスをより充実させていきたい」。
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